月刊全労連・全労連新聞 編集部

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【秋田】労働組合を作ったワケは、対等に経営者と交渉するため。経営者側からの一方的な不利益な条件変更を阻止! 本荘由利森林組合労働組合の場合 #労働組合ができること 秋田県労働組合総連合 労働相談担当 越後屋 建一

組合結成で一方的な不利益変更を跳ね返す 本荘由利森林組合労働組合 地域労連とともに要求実現へ


 労働相談センターを担当して22年、やっと落ち着いて相談を受けられるようになった。「給料日に給料が出ない」「休み明けに出社したら、事務所が空っぽだった」など、単組の経験しかなかった私にとって、「そんな、ばかな…」と思う相談が、次々に入ってくる。いろんな方に助けられ、問題解決にあたり、その中でいくつか労働組合も結成された。地域で元気に活動している組合も少なくない。


 2021年3月、4人の男性が「職場のことで相談がある」と県労連事務所を訪ねてきた。「本荘由利森林組合の方々である。本荘由利森林組合は、鳥海山の麓に広がる「由利本荘市にかほ市」の民有林を管轄とし、約8万ヘクタールを有する県内屈指の森林組合である。相談は「そんなことがいまだにあるのか」というところから始まった。就業規則には一時金は2.5か月と記載。しかし、その通り支払われていない。実績は1ヵ月。理由を尋ねても、「そう決めたから」の返事のみ。加えて賃金表を公務員賃金同様に細分化し、昇給幅を一方的に変更昇給幅は恣意的に決められ、同じ勤務年数で大きな格差が発生していた。行き過ぎと思われる上意下達の職場運営もあって、不満が高まっていた。その改善には労働組合が必要と判断し、最初から「組合を作る、交渉する」ことが前提の相談だった。


学習しながら仲間をふやし、組合結成へ


 それから半年間、職場の問題点を整理し、労働法の基礎を学習し、仲間を増やしながら結成の準備を進めた。最初は男性だけだったが、女性職員が加わると要求討議が活発になり、要求書も厚みを増した


 組合は上部団体を持たないが、地域労連に加盟。地域労連の支援を継続的に受けながら活動する体制を取った。9月14日、結成大会で確認した要求書を結成通知とともに森林組合長に提出。その時、対象の90%が組合に加入していた。組合長・理事会は、組合結成は受け入れたものの、要求への回答は「弁護士と相談している」などと引き延ばしてきた。労働組合側は短気を起こすことなく、経営側に粘り強く回答を迫り、その間に仲間を増やした。現場職員の蜂アレルギー検査実施などの要求は、回答がなくても業務的に改善させたやっと回答が出た12月28日には、ほぼ100%の組織率となった。

本荘由利森林組合労働組合の結成大会の様子


 22年春闘の時期と重なってきたことから、地域労連も組織を挙げて要求実現に向けた支援体制をとることにしている。菊地執行委員長は「組合結成後の活動は、私たちにとって未知数。たくさんの困難があると思うが、これからも地域労連の方々の力を借りて前に進んで行きたい」と力強く抱負を述べている。農林水産業秋田県の基幹産業地域経済の活性化の活動を研究し、提言する県労連にとって専門家集団が仲間になったことは喜びが大きい。地域労連も活性化している。これを教訓に、相談と組織化を続けていきたい。

 

( 月刊全労連2022年3月号掲載 )

 

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