月刊全労連・全労連新聞 編集部

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【座談会】「忙しい労働者はくだらないキャンペーンには付き合わない」「10分間の始業時全員ストライキに効果はあるのか?」 耳が痛いのと同時に、たくさんの学びがある労働組合職員による座談会

座談会参加者

北海道勤医労 佐賀正吾さん
京都市職労 永戸有子さん
生協労連おかやま 内田和隆さん


編集部:この座談会では、ゆにきゃん(ユニオン・キャンプ)に参加をして、コミュニティ・オーガナイジング(以下、CO)に出会って、どのように運動に生かしているのかを中心にお話を伺いたいと思います。


 まずは自分がどのようにCOに出会い、どうやって組織でいかそうとしているのか、してきたのかということについて、お話しをいただければと思います。

 

「あなたにお願いしたいのは、人前で話すことじゃなくて、人前で話す人を探すことなんだよ」

 

佐賀:自分が働きだしたのって、高校を出て、就職できなくて、非正規で今の組合のある職場で働きはじめたんですよね。当時はすごい虚しさしかなくて、時給も870円で給料日前はもやしばっかり食べていて、「何者にもなれないなあ」っていう気持ちがすごい強かったんですよね。そんな中でなんとなく労働組合にも加入して、なんとなく毎日過ごしてたんですけど。


 組合の会議に出ると、委員長とか書記長みたいな人がぐいぐい引っ張っていて、リーダーシップをすごい感じて。学習会の講師をしたり、大会の切り盛りしている様子とかを見て、「いやぁ、こういうことはできないよなぁ」と思ってたんです。当時400人ぐらいの規模の支部の組合員だったんですけど、そのとき「役員やんないか?」って声がかかったんですよね。


 「人前でしゃべれないし、頭も悪いんで」と断ったんですけど、そこで声をかけてくれた堀内さんっていう先輩が、「あなたにお願いしたいのは、人前で話すことじゃなくて、人前で話す人を探すことなんだよ」ということを言われたんです。それで心がすごく軽くなったというか。「ああ、なるほどな。自分は何者にもなれないけど、例えば、弁護士にはなれないけど、弁護士と友達にはなれるよな」という感覚をもって。うちは単組で2800人いるんですけど、そこで28歳で専従になりました。32歳で書記長になって7年目になります。


 専従になって何をやりたかったかっていうと、「集団の力で変化を作りたかった」ということと、労働組合の力で自分が非正規から正規になれたので、「組合の力をもっといろんな人に知らせたい」いうことですね。それから組織化にこだわった活動をできないかなっていうのを思っていました。


 そんな中で、2015年に布施(全労連事務局次長)さんたちとオーストラリアに視察に行ったときに、COの手法で組織化している実践例を聞いて、それが東京でも学べるということでワークショップを受講しました。実行力のある労組にするっていうことと、力を集団化するっていうことが、COの学びとしてとらえているポイントです。

編集部:「集団的の力で変化を作りたい」、「実行力のある労組にしたい」というときに、活かせそうだと思ったポイントはどこですか。

佐賀:これをやるために一人ひとりとつながるみたいな、「関係構築」でしょうかね。その重要性を感じたのは、オーストラリアにおけるキャンペーンで、保育園で組織化して半年で8000人の組合員を増やしたという話を聞いたときに、「こういう実践方法があるんだ」って衝撃を受けましたね。だからいつか、札幌でやりたいと思っています。

キャンペンーン用の動画撮影をする佐賀さん

北海道勤医労 佐賀正吾さん

役員任せじゃない、主体的な運動をつくるチャンス

 

編集部:印象的な事例から学んでおられますね。次は永戸さん、お願いします。

永戸:私の場合は2019年の8月にCOJ(コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン)のフルワークショップに、市職労から3人が参加をしたんです。それが一番最初の出会いです。

 最初はあまり消化できなかったんです。でも、市職労でやっていた非正規職員の「ツナごえ(つながろう・声をあげよう)」のとりくみが思い起こされて、「これ私たちやってたやん」って思ったんです。「ツナごえ」は、2020年に公務の非正規職員が会計年度任用職員の制度に移行するにあたっての危機意識からとりくんだもので、2018年くらいから「こんなに制度が大きく変わるのを、当事者が知らないままいるっていうのは絶対あかんわ」って思って、当事者も入った4人ぐらいのチームを作って、知らせていくのにどんな形のニュースがいいかとか、どういうふうにしたらいいのかっていうのを、いろいろ言い合いながら作り上げていって。嘱託員全員に個別の送付をして、一方的に送るだけじゃなくって話も聞かな、っていうことで、組合員でない人も含めて職場ごとに説明会やって、来てもらったりとか。


 いよいよ制度が決められる大詰めの時には、そういう運動の中で出会った人たちにスピーチをしてもらおうと、人事課の部屋の前の廊下で正規職員も含めた集会をやって、そこで非正規の嘱託員の方が10人連続でどんどんスピーチをしていくっていう場を作って、人事課の担当者が壁越しに聞いているみたいな。そしてそれが、結果に大きな影響を与えました


 そういう中で当事者のすごい力を感じて、フルワークショップを受けたときに、私たちは本当に試行錯誤でやってきたけれども、それを理論化、体系化したものがここにあるんや! みたいな感じでの受け止めだったんです。だから私たちの運動と違うものじゃ全然なくって、必要なものだというふうに受け止めました。


 そのあとに介護保険の嘱託員の業務委託と、130人の雇い止めの方針が出されて、それに対する運動の中でも当事者からは雇用に対する思いと業務に対する誇りっていうのが話の中ですごい出てきて、それをアピールすることで、介護事業者であったりとか、いろんなところにも賛同が広がっていくっていうのも経験をしていて。そういう2つの運動から、当事者抜きで運動っていうのはありえへんなっていうのは実感していたんです。


 そこから2021年かな、ゆにきゃんにコーチとして参加するようになって、COの全体像がより見えてきて。これは本当に組合で活かしていきたいなっていう思いがより一層強まりました。


 スケジュール闘争ってよく言いますけども、本当にどうこなしていくかみたいなことになりがちやし、どこまでそれがみんなの「これはなんとかしないと」っていう思いに基づいたものか確信を持ちきれない。そういうモヤモヤをCOのメソッドを使って見直せるかなって思ったんです。組職するっていうのは、組合に加入してもらうというだけでなく、運動を組織していく、大きくしていくっていう視点だとか、当事者の資源を活かすっていう視点がすごく大事だし。役員任せでみんな主体的に参加できないなあ、っていうところを変えていく大きなチャンスだって思いました。

京都市職労 永戸有子さん

編集部:実は先日、ある単産の中央執行委員会でCOの話と演習をやってみたんですが、委員長が「これ昔から先輩の頃からやってきたことだってことがわかった」と言ってくれたんです。「それを体系化したことがわかった」と。そういう発見っていうか、ひろがりがあるといいですよね。最後に内田さんお願いします。

 

制度を勝ち取るだけじゃなく、いかに当事者をエンパワーメントできるか

 

内田:自分の話をすると、例えば有休申請して、「友達の結婚式で、ゴールデンウィークに式があるから行きたいです」っていう申請をしたら、生協は祝日関係ないんで、上司が「いや、ありえんわ。わしが、自分の世代のときも、なんぼも断ってきたで」みたいなことを言われて、「ですよね~」って笑いながら引っ込めて、あとで別の職場の人にグチりまくるみたいな。


 一方で労組の専従の人は本当に華々しくて、春闘の方針とかを喋る時は、「正しいことをちゃんと堂々と言うんだ。いけんことはいけんって言うんだ」とすごくきらきらしてて、憧れてて。だから、入り口は強いリーダーシップへの憧れなんです。「正しいことができない自分はなんでダメなんだ」と思う一方で、労働組合の人たちは正しいことを言っている、そこに近づきたいと思って。「おお、来い来い」っていう感じで専従になりました。


 ただいざ専従になってみると、強いリーダーシップを体現したような組合だったわけです。執行部、書記局が強くて、そのリーダーシップで勝ち取ってきたと。ただ生協自体の売り上げが伸びない時期で、強い腕力で企業内交渉をしても勝ち取れないということが続いて。その中で問題を解決してくれない労組なんて意味がないみたいな声も広がって、かつての求心力がどんどん落ちていく状況に僕は飛び込んでいったんです。そんな中でどうやれば当時の先輩専従みたいに、びしっと言って、弁が立って、人を巻き込めるのかなって模索していて。


 そんなときにちょうど同世代の他県の労組の方々が、COについて語ってるのをネットでみて関心を持って、2016年にフルワークショップを受けたんです。その中で学んだのは、当事者が真ん中だっていうことと、関係構築ってこうやってやればいいんだ、一対一ってこうやってやればいいんだってことがわかったのが、一番最初の入り口かな。


 あと、人に心に訴えて共感を広げる、これを体系化してるんだっていうのがわかって、それに救われた感があって。「自分はセンスがない、どうやればいいんだろう」と思っていたのが、「手順があって、技術として後天的に習得できるんだ」と。「学べば成長できるんだ」と、すごく救われて希望になった。それが最初の気づきで。


 あともう一つは、どうやれば求心力を持ちながら組合運動をできるんだろうって思ったときに、ちゃんと話をして、みんなの要求をつかみ、要求化して団交していくっていうのを、対話をベースにみんなの気持ちを高めながら進めていく道筋が見えたことですね。


 例えば、有休の取得率を引き上げるためにどんなことをやってきたかというと、経営側に有休申請したら断るなと詰めて、「もちろんそうします」と言質を取って、「みんな、言質取ったよ。ちゃんと申請してね」と言って終わるんですよね。
 それはつまり、職場の力関係とか、申請できない精神的なものとか、そういう障害を取り除くことではなくて、制度で保障したからあとはよろしくねっていうことで、当事者のエンパワメントという視点がないんですよね。


 かつて自分は有休申請して断られて「わかりました」って言ってる側だったんですが、それが何が障害になっているのかを分析して、当事者をエンパワメントする必要があるんだと。強く叱咤すればみんなが取得するようになるんじゃないんだな、と。その発想で物事を組み立てなきゃなあと気付いてきたみたいな。

 

失敗と成功

 

編集部:ありがとうございます。 いろいろ聞きたいことはありますが、次は周りの変化も含めて、みなさんの周囲で起こっていることを教えてください。

 

佐賀:ぼくはCOを学んでオーストラリアも経験して、これはもう、早く日本の実践で成功させなきゃダメって思いがめちゃくちゃあって。結構失敗してるんですよね、キャンペーンを。例えばコンビニ店員を組織化しようとして、時給1500円にするんだっていう戦略的ゴールを勝手に自分が作ってしまって、それに合わせてコンビニを回って、組合員を増やすんだみたいな仮説をたてたんですけど、思いっきり失敗してしまって。


 メディアには出たんだけど、それだけみたいな。コンビニ店員の何人かと対話したんですけど、それ以上は広がらなかった。で、ちょっとこれダメだなと思って、しばらくチャレンジしなくなったんですよね。


 その後コロナ禍での労働相談で、子育てしてるんだけど、休校助成金を会社が使ってくれないっていう労働相談が3件くらい立て続けに来たんですよね。団体交渉をやるんですけど、会社が「絶対払わない」っていう感じで。じゃあどうする?といったときに、ふとCOのことを思い出して、「じゃあキャンペーン戦術やってみますか」みたいな感じになって。3ヵ月くらいの短期決戦で「子育て緊急事態宣言」っていうのをやって、実際に制度が変わったっていうのがあります。100人を組織して、ツイデモで「トレンドに入って制度を変えよう」っていう流れだったんですけど、その中で自民党の議員も動いたりして、制度が変わったんです。その経験はすごく大きいなと思います。 


 その流れでキャンペーン的にやるとこうなるんだっていうのが分かって、自分の単組でもストライキは効果的な戦術をとるようになりました。

 

編集部:なるほど。

 

佐賀:うちの組合は42ヵ所の支部があるんですが、その中の一つの支部が独自の要求で署名を集めたり、活発な取り組みをやっていて。そこは非正規の加入が続いていますね。


 今やってるキャンペーンでは、ケア労働者の4万円賃上げ署名を単組発でやったんですけど、オンラインで2万筆集まりました。それはもう提出して終わるんですけど、今後の動きを看護師の同志を4人集めて、夜な夜なオンラインミーティングをやってキャンペーンのタイムラインを作っているところですね。

 

COのメソッドは運動の進め方のよりどころ

 

編集部:ありがとうございます。続けて永戸さんお願いします。

 

永戸:はい。キャンペーンとしてやっていることと、ちょっとCOを意識している取り組みと両方をお話ししようと思います。まず、キャンペーンでいうと、今取り組み始めたのが、ちょっと画面共有をさせてもらいます(図1、2)。

図1

図2


 これは京都府職労連、大阪府職労、京都市職労の三者で立ち上げた「33キャンペーン」です。COJのフルワークショップで、そこに参加していたコアなメンバーが集まって、定期的に集まりをもってたんです。コロナでリアルな次の開催ができなくなったけれど、でも、せっかくつながっているので、COの実践に向けたトレーニングしたりということも含めて、集まりを持ってたんですよね。


 そういう中で、保健師の働き方がもう2年続けて長時間労働させられてきた実態に対して、何とかしたいっていうことがみんなの思いにあって、この「33キャンペーン」を立ち上げたんです。


 今年の8月までに、「公務だからといって青天井の労働時間っていうのは許されへん」と「規制をちゃんとさせろ」っていうのと、それには人員が必要なので、その財政措置を取らせようっていうのを目標に、オンラインも含めて署名を集めていこうっていうことなんです。そして、タイムラインも考えて。


 これも、それぞれの単組から2人ぐらいずつ出てチームを作って、オンラインの会議で4時間くらい集中してわーって作って。それ自体すごいなって思ったんですけども。今は5月15日のスタート集会が終わって次のところに向けて動いているところです。


 その集会に向けての話をすると、長時間労働で苦しんでいる当事者を意識して、保健師もそうやし、それから本庁の職員でもちょっと前に、公務の仕事にやりがいを持っていた若い子が、「こんな苦しい状況やったら、好きな仕事が嫌いになってしまう、それが辛い」みたいな話を聞いたことがあって、それをぜひ喋って欲しいなって思いました。結局その人は集会には出られなかったので代読してもらったんですけれども、彼女がいうには、自分の気持ちを振り返って文章化することで、その時には言えなかった、辛さとか自分の思いとかの整理ができて「よかったです。ありがとうございました」ってお礼を言ってもらえたんです。そういう当事者の力を発揮してもらうっていうことを意識したことが、本人にとってもよかったということも嬉しかったですね。


 これとは別に市職労の中で、保健師をつなぐことや保健師の働き方を改善しようとか、公衆衛生行政をよくしていこうっていう目的でキャンペーンをやっています。職場ごとにバラバラになっている保健師をつないでいくっていうことを意識してやっていく中で、保健師からの組合に対する信頼もすごく増えてきたように感じています。それは、新採さんへの組合説明会の時に先輩保健師が自信をもって組合のことを語る場面に出会うと、このとりくみが信頼されることにつながっているんだな、保健師を元気にすることにもつながっているな、と思います。


 あとは会議の持ち方を工夫しようっていうのに取り組み始めているところです。運動の方向性とか立ち位置については、自治体労働者でいったら民主的自治体労働者論がよりどころなんですよね。でも、その運動の進め方っていうもののよりどころはこのCOのメソッドかなっていうことを、常々感じているところです。

 

編集部:ありがとうございます。最後にキーワードで「運動の進め方のよりどころ」とありました。会議の持ち方の変化はどんなことを工夫してるんですか?

 

永戸:それまでは本当に報告中心で「意見ありませんか」…しーん。「じゃあ次に」みたいな。で、時間だけかかるみたいな。

 

編集部:あるあるですね。

 

永戸大阪府職労の小松さんに、どうやってますかって教えてもらいながらですね。報告はぎゅっと縮めて、みんなで話し合いたいことをしっかり定めておいて、小グループで意見を出し合ってもらうようにしたし、そんな中で自分自身の思いっていうのを出してもらいやすいように、工夫をし始めたところかな。まだまだですが、みんなが参加している会議になってきつつはあるかな。

 

10分間の始業時全員ストに効果はあるのか?

 

編集部:ありがとうございます。じゃあ次は内田さんお願いします。

 

内田ストライキの話がありましたけど、岡山の単組はストライキを構えてやっているんです。ただ事業と生協労働者は、生協運動を発展させる両輪だということで、事業を止めるようなことはしないというふうにしてきているんです。


 そうすると規模は事業に影響が出ないっていうのが基本で、例えば10分間の始業時全員ストを配置して、「それって意味あるの?」っていわれるんですね。直接的には意味ないですよね、だって経営的に止めないから。でも意味はあるんです、と。なぜなら、経営者がほかの県の生協の経営者から白い目で見られるから。ストライキもコントロールできないような労務管理してるのかっていうふうに見られるんです。

 

編集部:なるほど。

 

内田:そういう語り方をずっとしてきたんだけど、説得力がないなと思いながらも、ずっと言ってきたんですよね。そこでCOでは経営者が本当に何を欲していて、何が関心事項で、何を傷つけられると譲歩する余地があるのかっていうのを、パワー分析、マッピングでやるじゃないですか。その視点で考えたときに、「あ、そうか。生協の経営者っていうのは、生協の理念であるとか、社会的な企業であるということに誇りを持っていて、社会的名声が傷つくことが嫌だし、職員も社会的な企業であるということに誇りを持っていて、そうでない経営をされることがすごく嫌なんだ」と。で、「社会的企業じゃないじゃん、これって」っていうことを示していくと、経営者も嫌だし、職員も気持ちが離れていくと。職員の求心力を失っていくっていうことは経営者にとっても怖いんだということが、僕の中で整理ができて。つまり、10分のストライキでも、あるいは別のやり方でも、社会的な名声を傷つける恐れがあるっていうような行動ができる規模だったら、事業は止めなくても十分効果があるんだて考えたときに、スト戦術の自由度が広がったというか。


 執行部だけの指名ストで配達は止まりません、でも街頭にでますよ、と。「こんな暴利をむさぼって、職員に還元できんってひどくないですか」っていう横断幕を作りますよって。横断幕作って団交に持っていって「これでストしますよ」みたいなことをしてみるとか。規模じゃなくて効果的に配置すれば、相手の弱点をつけるんだってことがちゃんと整理ができて。そのことで一定の合意ができて、2018年に7年ぶりのスト決行に繋がりました。それまでは職場から「どうせ威勢のいいことを言っても、最終的に腰折れするんでしょう」と言われていたんです。


 もちろん職場にも相応の覚悟を求めます。指名ストで職場から一人抜けたら、その分みんな忙しくなりますよね。配達がちょっと遅れるとか、倉庫の人が抜けたりとかして。「こうこうこういう理由で、と話をしてもらわないけんよ」ということも言い、討議の形としてみんなにも覚悟を求めつつ、合意して、「よしやるぞ」っていうことでやった感じです。


 ただそれがCOで学んだことによる効果だっていうふうに思っている人はものすごく限られています。しかし、スト戦術が変化して、ストを改めてやる組織にはなったのと。ストには意味がない、ストなんてしんどくなるだけだと前向きじゃない人が多かったんだけど、今となってはどうやったほうが効果があるっていう議論が出てきたっていうのが、職場の変化かなというふうに思います。

 

忙しい労働者はくだらないキャンペーンには付き合わない

 

編集部:ありがとうございます。大変な変化だと思います。今後さらに活かしていくために、みなさん個人として、また組織として思っていること、全労連に対する要望も含めて最後にお願いします。

 

佐賀:あんまり焦りすぎないことだなとは思っていますね。やりたい気持ちにせかされるんだけれど。なんでそう思うかっていうと、専従者の仕事が何かっていうのを、オーストラリアに行った後からすごい考えさせられて。COのキャンペーンとも絡むんですけど、潜在的なリーダーを探して、そのリーダーとトレーニングをしてキャンペーンをやるっていうのは、本当に時間がかかるんですよね。焦らず積み重ねるしかないかなって。


 あともうひとつ、これもオーストラリアで聞いたことですけど、「忙しい労働者はくだらないキャンペーンには付き合わない」ということ。結果を見たときに、何でだろうって頭を抱えるんじゃなくて、このキャンペーンはくだらなかったんだって割り切るしかなくて。


 戦略から発信するようなキャンペーンは、同志が巻き込めないからやらないですね。例えば、サウンドデモやったら人が集まるんじゃないかみたいな仮説でやったとしても、なかなか実現しない。それよりも、同志の困難から出発するキャンペーンが力を持っているということですね。目的と手段がつながっていないものは、忙しい労働者には付き合ってもらえないし、意気が上がらないなっていうところですよね。


 それを考えたときに、最初の一歩がすごい大事だと思ってて。「これを実践するにはどうするか」っていうキャンペーン戦術。「何をやろう」っていうことじゃなくて、「誰と何をやるか」っていうことが大事で、その誰っていう人が出てこないうちはなかなかキャンペーンをやろうとしてもできないなあっていうのが実感なんですね。


 あと上部団体に求めるものはっていうことなんですけど、組織を再定義する必要があるっていうのはずっと思っていて。日本の労働組合って単組に権限があるので、上部団体があれやれこれやれって言ってもなかなか難しい側面があるので。もう上部団体は割り切ってトレーニング機関に徹するとか。本当に労組の全体を変えるんだったら、上部団体に妥結権限とかスト権が必要だし。ない現状の下では、トレーニングを保障する機関に徹するというのがいいのかなって。


 あとは、キャンペーンをやる組織に予算を付ける仕組みがあるといいなと思っています。大会とか、中央委員会はキャンペーンのプレゼン大会みたいになるといいんじゃないのかなって。そこでみんないいよねって思ったキャンペーンに投資しますみたいなのがいいんじゃないかな(笑)。

 

何度も学べる場を/「スケジュール闘争」にCOの手法を取り入れるには

 

編集部:第一歩を誰と何をやるかをみつけなきゃだめだということは考えさせられます。次は永戸さん。

 

永戸:COを学ぶ人を増やす、そういう場がたくさん欲しいな。全体を学んでいる人同士だからこそ、こういう手順で、この考え方は、という共通の認識でキャンペーンを進めていくっていうことができる、それは大きい。


 それから私は何回もコーチに行ってもわからんことがいっぱいあって、だから何回も学べる場が欲しいなあっていうふうに思ってます。それでいうと、コーチ養成のフルワークショップはぜひしてほしいと思っています。

 

編集部:ありがとうございます。これまでゆにきゃん参加者の交流会をやっています。お互い学べる機会として1回じゃダメという要望が強いです。深めたい人のチャンスはぜひ作っていこうと思っています。内田さんお願いします。

 

内田:苦い経験で言うと、なんかちょっと元気のいい若者が出てきたら、すぐに台本作ってメーデー発言してもらうとか、ただデモを歩いてもらって、みんなから認められたっていう感覚でどんどん引きずり込むみたいなのがあるじゃないですか。そういうことじゃなくて、ちゃんと覚悟をもって、ステップを踏んでもらうことが必要で。


 例えば団体交渉でちゃんと発言してもらえるように整えていくとか。団体交渉で経営陣と対峙するところで発言する前に、要求論議の時に模擬団交発言みたいなことをやって、覚悟を深めていく。そういうステップをどんどん作っていくことで、覚悟を持ち、リーダーシップを発揮してもらうっていうことが必要だと思う。それが一つ。


 もう一つは、上部団体にはありとあらゆるスケジュールでそういうことをちゃんと意識してやって欲しいなっていう思いがあって。一つの成功体験として、3月に県の春闘共闘の決起集会があったんですけど、そこでなぜ春闘をがんばるのか、なぜ労働組合が頑張っているのか、なぜ最賃を上げたいのかっていうことを、当事者が発言ができるようにしようとしたんです。いつもは単組でこんな労働条件を勝ち取ったといった活動報告が中心で、その職場のことを知らない人にとっては「よくわかりません」みたいなことになりがちで。ちゃんと思いを、当事者がなぜやりたいのかっていうことを、要は「セルフ」を発言できるようにしようよっていう問題提起をしたんです。


 その議論は県労の常任幹事会で昨年11月ぐらいからやってたんですね。10月末のゆにきゃんにうちの県労連の常幹、執行部も何人か参加していたので、こういう発言を作りたいんだ、こういうふうにしてほしいんだっていうイメージも伝わった手応えがありました。決起集会当日は、そのゆにきゃん参加者の一人だった保育士の方の発言が、ゆにきゃんの学びを活かしたセルフを意識したもので、それがすごく良くて。ほかにもうちの単組の女性が、自分の家庭環境も踏まえて勝ち取りたいんだっていう思いを話してもらったんですよ。それが呼び水になったのか、ほかの発言者の内容も良くて、それで感動的な「よしやるぞ」っていう空気になったんですね。


 10月の中国ブロックゆにきゃんによって発言できる機会が用意され、職場のリーダーとして頑張ってほしいって思う人を結び付ける舞台を整えることができたっていうことで、そういう連動性が今後も生まれてほしいと思います。

 

編集部:みなさんのお話で深まりました。今日は本当にありがとうございました。

 

全員:ありがとうございました。

 

( 月刊全労連2022年8月号掲載 )

 

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労働組合「全労連」のトップである議長が、なぜ 自ら #今からでも国葬中止を のTwitterデモを呼びかけたのか? 全労連議長 小畑 雅子

憲法共同センター第9回総会(2022年9月22日) 閉会のあいさつより抜粋

 

 閉会のあいさつをさせていただきます。全労連議長の小畑です。

本日はたいへんお忙しい中、憲法共同センター総会への参加ありがとうございました。

 

(中略)

 

 閉会のあいさつですので、少し、私のこの間の経験から思っていることをお話させていただきたいと思います。

 

 9月19日の代々木公園の大集会に連帯し、その日の18時から、「#今からでも国葬中止を」のTwitterデモを、私のツイッターアカウントから呼びかけました。多くの皆さんの賛同を得ることができ、21日の朝までに、36時間あまりで、23万ツイート以上が記録されています。おそらく、現時点では、もっと広がっていると思います(9/23の時点では53万ツイート強)。

 

 連合の芳野さんが、13日に「労働者の代表として国葬に参加」すると述べたとの報道があり、15日の記者会見において、「苦渋の選択として参加を決めた」と表明がありました。

 全労連は、7月22日に閣議決定撤回、国葬中止を求める談話を発表していますが、全労連の立場を明確にしたうえで、国葬」に反対する多くの労働者や市民の皆さんとともにできる行動を起こす必要があると思いました。

 

 Twitterデモをやってみて、今回の「国葬」が法的根拠もなく、国会審議もせず、閣議決定のみで行われようとしていることや、憲法19条が保障する思想・良心の自由を侵し、「弔意」や「敬意」までも押し付けようとしていることへの怒りが非常に大きいということを実感しました。

 

 同時に、私たちが、長引くコロナ禍や、長く続く低賃金、自公政権の経済政策の失敗による急激な円安、物価高騰などのもとで本当に苦しんでいるのに、その元凶である安倍元首相を、苦しみながら国民が収めた税金を使って、なぜ「国葬」しなければならないのか、ということに対する怒り、不信感、不満、これが大きく渦巻いていることを感じました。労働組合は、この労働者や市民の思い、要求に寄り添わなければならないと思います。

 

 もう一つ、Twitterデモをやってみて思ったことは、要求の当事者を組織することの大切さです。Twitterデモを呼びかけたのは私ですが、この呼びかけに賛同してくださった皆さん自身が呼びかけ人となって、どんどん拡散を始めてくださいました。例えば、私は、拡散に有効なバナーを作る技術はないので、Twitterデモを予告する最初の呼びかけツイートの中で、バナー作成、提供をお願いしました。ほとんど瞬時に、多くのバナーが寄せられました。それを拡散すると、その拡散した先で、さらに、新しいバナーが生まれる、この繰り返しの中で、多くの呼びかけ人が誕生し、さらに情報が拡散していきました。

 これは、ちょっと、わくわくするような経験でした。

 

 運動をすすめていくためには、要求を言葉にし、怒りや不満、悩みを組織していく過程が重要です。そのための、(この言葉がふさわしいかわかりませんが)戦略、戦術、を私たちが、練っていくということが求められていると思います。

 

 本日の総会も契機に、黄金の3年間どころか、岸田政権が追い詰められている、その状況を作り出した、多くの労働者・国民、市民の皆さんとの共同を広げ、大軍拡、改憲ではなく、いのち・暮らし守る政治への転換を求める運動を大きくつくりだしていくことを本日ご参加の皆さんと確認しあいながら、総会を閉会したいと思います。

 

 本日は、ありがとうございました。共に頑張りましょう。

保育園児の子育てと夫の母親の介護をかかえて大忙しの毎日。そんな真っ只中、ただでさえ忙しいのに、なぜ労働組合の議長職を引き受けたのか? 愛労連議長 西尾 美沙子

愛労連初の女性議長になって~等身大の私についてのお話~
愛労連議長 西尾 美沙子

 

はじめに

 

 昨年7月に愛労連の7代目で初の女性議長となった。愛労連事務局に着任したのは2月からの新参者。文書管理やパソコンの管理、物品の場所などまだまだ分からないことばかりで、事務局のみなさんに教えてもらっている状況だ。事務所のメンバーは男女半数という状況で、とても和やかに支えてもらっている。


 今日は等身大の私について話したい。はじめに議長になった経過、出身単産について、労働組合にも女性の参画をという点と、女性が参加しやすい組合活動に、ということについて話したいと思う。

 

労働組合に関わるきっかけ

 

 私の出身は愛知県医労連だ。1993年、大学を卒業して1年目の年に、瀬戸物で有名な愛知県瀬戸市の精神病院でソーシャルワーカーとして働いており、患者さんの人権が守られないということや、賃金の一方的な切り下げが行われ、労働組合が結成されて愛知県医労連と尾東労連に加盟した。その病院の院長は女性の医師で、労働組合をものすごく毛嫌いしており、診療のサボタージュや、病院長が組合員に組合脱退届を書かせるといった不当労働行為が続き、組合脱退が続くという状況がうまれていた。こうしたなか、組合を辞めなかった私を含めた組合役員5人に対して不当解雇がされたが、労働委員会や裁判闘争を行い職場復帰した。

 

時間が取れないなかで

 

 愛労連議長の話があった時は、子どもが保育園の年中になる子育て真っ盛りのときで、家には要介護2の夫の母親がおりで、とても引き受けられる状況ではなかった。しかし、労働組合への参画の敷居を下げたい、スーパーヒーローでなくても良い、もっと女性の要求や育児要求、非正規の要求などの労働組合活動を身近に感じてもらいたいという思いと、全労連で小畑さんが議長になったことにも背中を押され、議長になる決意をした。


 愛労連でも夜や土日の会議が多い実態がある。そうしたなか、愛労連四役の方が「私たちは単組の活動をして、産別の活動にも参加し、愛労連の活動にも参加して本当に大変なんだよ。10円ハゲができてるよ」と、率直に話してくれた。愛労連での役員の女性比率は14%で、1月の臨時大会、昨年7月の定期大会も女性代議員は18%にとどまっているのが現状だ。そうしたところを変えていかなければいけないと思っている。


 私自身もとにかく時間がない。本も新聞も読めない。Zoomで顔を見て、「何か変だな」と思ったら眉毛を書いていなかった日もあった。そんな慌ただしく、切れ目のない生活を送っている。

 

時間が取れないという女性の共通の問題

 

 私だけではなく、多くの女性は切れ目なく仕事や家事、介護などをやっていると聞いている。精神科で働いているときには、女性の患者さんが男性より多かったが、それは、女性の切れ目のない活動がうつ病を発症させていくのだという経緯を学んできた。
 

 女性の役員比率に努力している組合もある。名古屋市職労では、女性の役員比率は5割を突破し、女性だけではなく会計年度任用職員の方2人にも役員になってもらって、当事者が運動に参加するスタイルを確立している。愛知県医労連や福祉保育労東海地本でも、女性役員比率が5割以上となっている。


 女性の時間がない問題については、日本の置かれている労働実態を見て、労働時間短縮のとりくみや年次有給休暇の時間取得、有休取得促進、子どもの看護休暇や介護休暇の拡充、職場の理解や労働環境の改善を進めることが大切だ。女性だけでなく男性にもやさしい労働環境をつくることが大切だと思っている


 子どもが産まれてすぐのときに、日本医労連の中央執行委員をやっていた。大会や全国医療研などで託児所も設けてくれており、私の活動、学ぶ場を保障してくれた。そうした男性も含めた子育て中の方が参加しやすい環境を整えることは、労働組合としてもできることなので、とても重要なことだと思っている。会議の会場や時間帯、宿泊などの活動スタイルの検討などを保障しながら、組合活動に参加すると楽しいということをどんどん発信して、子育て中の人も介護などを抱えた人も「役員になって」と積極的に声をかけていくことが大切だと思っている。

 

ケア労働者の賃上げキャンペンーン

 

 愛労連として力を入れているのが、ケア労働者の賃金引上げだ。エッセンシャルワーカー大幅賃上げ・増員プロジェクトチーム(以下、プロジェクトチーム)をつくり、これまでに会議を5回開催している。そこでの女性参画率は37%だ。会議の女性の参加率が高まると、「参議院選挙でエッセンシャルワーカーの賃上げが餌にされたくない」、「いや。私たちはその餌すらもらっていない」などリアルで率直な意見が言い合える運営になっていくと感じている。女性の参画が増えると、会議が豊かになるように思うし、「メーデーでエッセンシャルワーカーのみんなに舞台に立ってもらおう」といった機動性のある運営になっていき、運動にもプラスになっていると思う。

 

エッセンシャルワーカー大幅賃上げ・増員プロジェクトチームのみなさんと取り組んだ名古屋駅前宣伝にて


 私が精神保健福祉士から愛知県医労連の専従者になろうと思った理由は、介護労働者の賃金や劣悪な処遇を、社会的役割にふさわしい条件に変えていきたいと思ったからだ。障害や高齢者、子ども、病気を持った人は、自分の気持ちを表現できない人もいる。そういう人たちの思いや願いをくみ取る、尊厳を守るケアの専門職だからこそ、働く人の尊厳も同様に大切だと思う。


 このプロジェクトチームは、自治労連医労連・福保労・建交労・生協労連の5単産で取り組んでいるが、一緒に会議に参加し、行動に取り組んで、それぞれの職業や組合への理解が深まり、愛労連への結集も強まったように思う。ケア労働にたずさわる人たちのやりがいと希望を、ケア労働にたずさわる人たち自身の言葉と行動で、より良く変えていくためにがんばっていきたいと思っている。

 

女性が労働組合の役員になる意義

 

 私が議長になり、周りのみんなが喜んでくれたり、知らない人が喜んでくれたり、かつて組合役員をやっていたという80代の女性が喜んでくれたりと、大きな反響があった。まだ実感として分からないところもあるが、女性に参政権がなかった時代のことを考えると、組織のリーダーに女性がなるというのは「そういうことなんだ」と感じている。女性が役職員になっていく、広げていくことが大切なのだということも実感している。


 私自身は自己肯定感が低く、大役の議長職がこれで良いのかという思いも常に付きまとっているが、事務所でこの原稿のことを話していたら、隣のベテランの先輩が、私が昨日の帰り際に、“今日のご飯何にしよう”とつぶやいたことに対して、「子育てをしながら組合役員をやって、大変な思いでがんばっていると痛感したよ。自分が子育てをしていた時のことを振り返ったよ」と話してくれた。思いを汲み取って今の私を認めてくれる仲間がいることがすごくうれしくて、涙がこみ上げてきた。労働組合活動は一人ひとりの生活や背景を思いやって活動していく、その人が等身大で活動できる、そうした関りを持って接することが大切なのだと改めて感じる経験だった。女性の役員が増えることで、相手の思いに立ち返ることが広がるのではないかと感じた。誰もがその人らしく活動できる組合活動は、より良く変える力につながっていくと思う。


 一人ひとりの組合員や社会を構成するメンバーが尊厳を持って生きられる、女性の参画が増えることで、人間らしく働きがいのある仕事と生活に繋がっていくし、私自身もそうしていきたいと思う。

 

さいごに

 

 まだまだ足りないことばかりだが、最賃の課題、非正規の均等待遇、エッセンシャルワーカーの賃上げなど諦めずに怒りを持って声を上げていく仲間とつながり、ビッグウェーブをおこし、要求実現までみなさんと一緒に頑張りたい。

 

 さいごに、7月の全労連大会でははじめての保育室を準備していただきありがとうございました。子どもと一緒に大会に参加する機会をつくっていただいたことに感謝します。全労連はあったかいと感激しました。子どもはセミとりや折り紙などができて、たのしかったと言ってます。

 

( 月刊全労連2022年10月号掲載 )

 

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多くの男性に読んでほしい。「ケアレス・マン」では許されない。労働組合での活動を週35時間に制限し、家事・育児との両立をはかる山形県労連事務局長の率直な感想と葛藤、そして模索。

ジェンダー平等と労働組合の新しい活動スタイルの模索
山形県労連事務局長 佐藤 完治

 

 山形県労連では、育児のため週35時間しか活動できない事務局長(筆者)を選出し、その中で様々な模索を続けてきた。それはたまたま、全労連ジェンダー平等の方針を太く打ち出すのとほぼ機を同じくしており、山形県労連におるジェンダー平等について考えるきっかけのひとつになってきた。本稿ではその経緯を概観しながら、労組専従を含む組合幹部役員においてジェンダー平等を貫くことに伴う課題、それはまた、当事者の要求実現エネルギーに依拠したボトムアップ型の運動へのシフトが避けられないものでもあることを試論しようとするものであり、2022年5月19日に行われた全労連ジェンダー平等学習会での特別報告に加筆したものである。

 

子育てしながら事務局長の任に

 

 私は現在54歳だ。山形県労連の事務局員になってから29年が経過し、2017年9月から事務局長になった。その直前に、長い不妊治療の末の妻の妊娠がわかった。いろいろ議論して、結局私が子育てをしながら事務局長の任に当たることを前提に、同年の役員選挙に立候補し信任された。その後、2018年の3月に息子が誕生し、同年11月から19年の1月までは、妻と交代して育児休暇も取得している


 妻は山形市近郊の民医連の診療所で医療事務をしている。この診療所の事務職員は3人で、うち1人は非正規の方。正規職員である妻は、週のうち2日から3日は残業になり、帰宅が7時過ぎになることもしばしばだ。月のうち2、3回は半日の土曜出勤がある。若干の持病があり、仕事のない土日や祝日は少し多めの休養が必要となる。コロナ禍にあって、医療従事者である妻の労働をサポートすることを期待されている、と考えざるを得ない。

 

ケアレス・マンでは許されない

 

 私の息子は現在4歳5ヵ月だ。保育園に行っている時間以外は、大人の目と手がまだまだ必要である。その役割の大半は、以上のような状況からして、必然的に私に課されることになる。いわゆる「ケアレス・マン」でいることも、事務局長だからといって時間無限定に活動することも、いずれもはじめから許されなかった


 こうした状況は事務局長に立候補する前から分かっていたので、私の勤務・活動は週35時間程度にとどめること、それを超える業務量により課題に遅延が生じることは容認してもらわざるを得ないことを、役員検討委員会で予め確認し、役員選挙があった定期大会では代議員にもその事情を報告した。実際に様々な課題が実行できなかったり、遅れたりしている。2ヵ月に1回程度の幹事会の他、原則毎週1回の事務局会議で当面の課題とその優先順位、専従議長や非専従ボランティアの役員、パート事務局員などの役割分担を確認して業務を進めた。さらに、子どもの発熱やコロナによる保育園の登園自粛要請などに即応して、臨機応変に優先順位や役割分担を変える、あるいは特定の課題や会議を取りやめるなどのシフトをしてきた。


 フルタイムで、ある程度の残業や休日労働も含めて活動できる事務局長の後任を探すことは、山形の現状では容易ではない。それどころか、加盟組織からの組合費の納入人員も減少が続き、役員の高齢化も進んでいる。

 

一人の百歩より百人の一歩

 

 今後は親族の介護や、私自身の加齢に伴う体力の低下に応じた活動時間のさらなる調整も求められる可能性がある。事務局長が週35時間しか活動できないことを前提とした組織的努力が、ジェンダー平等について検討する以前に必要とされてきたのだ。


 その基礎は「一人の百歩より百人の一歩」を貫くことであり、最低賃金近傍の賃金で働くシングルマザーなどの当事者を組織化するための努力や、幹事会内での役割分担、地域労連の活性化や空白地域での新規結成、日々の事務局運営の工夫が主な内容である。そして実はこれらの努力に、労働組合におけるジェンダー平等を考えるヒントが内包されているかもしれないと後で気付くところとなる。仮に上述のような私の家族の事情がなかったとしても、そもそもジェンダー平等の観点からは、私が事務局長の任務を制限してでも一定の家族的責任を果たすべきとの結論に至っていたはずだが、率直に言って、当初その発想はあいまいだったことは、告白しておくべきであろう。

 

趣味も含めた「自分の時間」は、子育てに向かうのに必要不可欠

 

 少なくとも私にとって、子育てにおいては、子どもと関わる時間はもちろん、ともすると単調になりがちな子どもとの膨大な時間の中で、子どもの微妙な変化に気付き、そこに子どもの成長を感じ取ることができるような知識や、そうした知識を得るための時間、そうした変化・成長を喜びとして味わう時間的ゆとり、保育士やいわゆるママ友・パパ友など他の保護者との交流が必要だった。さらに言えば、識者が「空気のように大切」とも述べている、親自身のための、趣味の時間も含む「自分の時間」も、子育てに向かうエネルギーを回復するため、子どもに対してイライラしたりせず、常にその発達段階に即した向き合い方・接し方ができるようにするために必要不可欠だと思われる。
 

 子どもの発達は保障されるべき子どもの権利である。社会や親の状況(経済力はもちろん、時間的ゆとりも含めて)など、偶然に左右されてもよいものではない。子どもは、忙しくて自分に構ってくれない親でも、その背中を見て育つ場合もあるだろうが、おそらくそこにも個人差はあるだろう。子どもの発達を保障する義務は、憲法上、国とともに親などの保護者にも課されていると考えられる。ただし義務だけではつらくなる。私たちには、何とか子育てを“こなす”だけではなく、子育てを喜びと感じる権利があるのではないか?その根拠もまた、憲法に求めることができるのではないかと考える。


 そして、こうした「自分の時間」もまた、子育てにも必要な権利として当然に請求可能なもの(国に対して、使用者に対して、さらには所属労組に対して)であり、労組専従者もその例外ではない、ということをしっかり内面化する必要がある。しかし、例えば私が子どもの迎えのため、まだ終わっていない翌日の街頭行動の準備を誰かに任せて16:30に退勤し、子どもと公園で砂遊びをしているとき、誰かが配布するビラを印刷して折ってくれている。私が風邪をひいた息子とエアコンの効いた部屋で過ごしているとき、仲間が猛暑の中で街頭行動に奮闘している。そうしたことを考えると、今でも時々葛藤を迫られる。だが、私が私自身の権利をないがしろにしたままで、自己責任を内面化させられた労働者に対する「権利の自覚と行使を」といった語りに説得力が備わるだろうか。少なくとも「自分が無理すれば何とかなる」という発想に留まることは、「一人の百歩より百人の一歩」の進展を遅らせはしないか。おそらくこの葛藤を引き受け続けることもまた、私の務めなのではないかと思う。


 週末を子どもと一緒に過ごすことは、貴重で幸福な時間でもあるが、完全な「自分の時間」、「自分の休み時間」にはならない。どの曜日よりも月曜日が一番疲れている。
 ジョン・レノンのように子どもが成長するまで仕事を休む条件はないし、SEKAI NO OWARISaoriのように「セカオワハウス」で仲間と子育てを共有するような、ある種の素敵な「共助」の展望も今のところない。公助としての「保育の充実」以外に方向性は思い当たらない。しかしだからこそ、もっと厳しい条件下にある保護者や、もっと保護者を助けて充実した保育をしたいと考えてくれている保育者と、要求を共有できるはずなのである。


 少なくない青年が、「子どもを持つのは贅沢」と考えさせられているとの報告もある。そこにも、まず徹底的に寄り添う必要がある。

 

当事者のエネルギーに依拠し土台をつくること

 

 労働組合ジェンダー平等にとりくむということ、特にそれを、労組専従者を含む幹部役員などにまで徹底させようとすることは、以上のような問題を伴い、あるいは労働運動の歴史の一部を積み直すくらい大きな課題であるが、しかしそれは避けられない課題なのではないかと思われる。そのための道は、全労連の「ゆにきゃん」などの手法も駆使して、個別具体的な要求を実現しようとする当事者のエネルギーに依拠した、ボトムアップ型の活動スタイルにシフトしていくことなのではと思う。


 ここには、仕事と家族的責任の「両立」を目指す条件があるかは疑わしい。いうならば、むしろ家族的責任を基礎にして、そこにある要求や課題を原動力としながら、運動と組織(労働組合の「仕事」)を再構築していく以外に道はないように思える。


 その過程で、もしかすると運動や組織は一時的にせよ、さらに後退するかもしれない。私たちの組織は、時にご家族をも犠牲にしながら、まさに自己犠牲の限りをつくして先輩たちが築いてこられたものだと思う。その歴史のすべてを否定するのは正しいこととは考えられない。


 しかし、山形県労連について言えば、そうした自己犠牲モデルによる運動を続ける条件は、もはや残されていない。どのみち、しばらく大きな前進が難しいとするならば、その過程にあってもしっかりと土台をつくる、次の飛躍を準備する、その決意、覚悟を固めることこそが、このタイミングで事務局長になった私の最大の役割なのではと思う。


 当事者の潜在力(エネルギー)の大きさを学ばせられた出来事が2つあった。1つめは山形最賃アクションプランの中で出会ったあるシングルマザーの姿。仕事と育児だけで超多忙。「日常、自分の時間は取れない」と断言しているが、それでも子育てに関する行政機関への要請や組合が提起した行動に積極的で「何かできることがあったらさせて欲しい」と言う。


 2つめ。2021年12月自治体キャラバン2022山形市要請には、福祉保育労のある保育園の分会から4人が参加した。独自に資料を準備して保育士の配置基準や処遇の改善の緊急の必要性を論証し「子ども30人に保育士1人で安全にお散歩に行けると思いますか?」と毅然と市長に迫った前進的な回答が一切引き出せなかったにも関わらず、当該分会の組合員からはその後、「また訴え方を考え準備して要求・交渉したい」など、諦めるどころかますます頑張りたいという趣旨の声も寄せられた。県労連は3月24日、山形地域労連とともに「保育士配置基準等改善運動」の文書を福祉保育労に示した。7月28日の同分会で、これに取り組むことが決議されるまで、自治体キャラバン要請から約8ヵ月。その間、保育士の欠員(園独自の基準に対する)にコロナ禍による困難も重なり、同分会の組合員は多忙を極め、分会内での議論や地本との意思疎通にも困難をきたしたが、それでも議論を続けて意思統一を勝ち取ったこと自体が極めて貴重といわねばならない。


 私見であるが、これらの例で示されているのは、要求が現実の労働や生活から切り離しえない切実なものであれば、そもそも要求を諦めるなどということは考えられず、何とか時間を作ろうとする力が湧いてくるということ、前進につながらなかった行動によっても力や団結が強まる、ということなのではないか。私には「週35時間しかない」境遇を逆手に取り、切実な要求はあるけれども時間はあまりない、というこうした人たちの日常を理解しつつ、会議の持ち方やSNSの効果的な活用など、こうした人たちが参加しやすい活動スタイルを積極的に提起し、あるいは議論していくことが求められていると思う。

 

保育士の労働条件改善と組織化をすすめ楽しく活動を

 

 山形県労連は、上述の保育士配置基準等改善運動の実施に向けて必要な協議を継続している。また9月の第34回定期大会では、「みんなで地域の運動を盛り上げ誰もが入りたくなる労働組合に」のスローガンで、地域労連のあるところでもないところでも、議論して重点要求・課題を絞り込み、その実現のため、加盟組織の組合員が力を合わせて組合員拡大に取り組めるよう方針の補強を目指す。合わせて、幹事会メンバーの半分、大会代議員の半分を女性にする目標で取り組む方向も示されている。いずれも、楽しみながら取り組めるよう、多くの方々の力を借りて大きな運動にしたいと思っている。

 

( 月刊全労連2022年10月号掲載 )

 

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「生理休暇」をとると「無給」かつ「ボーナスや昇給」で不利益になりますという会社の提案に対して、#労働組合ができること は? 郵政ユニオン女性部長 有村 三津

格差是正に逆行!生理休暇が無給に!?
郵政ユニオン女性部長 有村 三津

 

 2020年10月、私たち郵政ユニオン非正規の均等待遇を求めてたたかった「労働契約法20条裁判」では、最高裁判決で勝利判決を勝ち取り、有給の病気休暇、夏期・冬期休暇、扶養手当など5つの項目について格差が認められた。そのとき原告の1人は「歴史の歯車が回った」と喜びを語り、私たちはこれからの社会に希望を抱いた。


 しかし昨年の9月、会社は「労働契約法20条最高裁判決を踏まえた労働条件の見直しに関する基本的な考え方」を示してきた。その内容は、正社員の夏期・冬期休暇を削り非正規社員に付与する等、またもや正社員の処遇を削り非正規社員の労働条件の一部を改善するという考え方であった。

 

生理休暇を無給にするという企業側の対応

 

 特に有給の病気休暇については、無期転換した非正規社員(アソシエイト社員)に15日付与するが、正社員・非正規社員ともに31日以上の療養でなければ使えないとした。病気で休んでも30日までは無給、それと同時に病気休暇に含まれる「生理休暇」についても無給にするという許しがたい内容であった。


 しかも会社は生理休暇の取得による賞与・昇給の減算除外を廃止するとした。要するに、生理休暇を取得するとボーナスや昇給で不利益を受けるということだ。女性の社会進出が進むなかで、生理は働く女性には避けて通れない問題であり、多くの女性が辛い症状を抱えながら働いている。しかし、取得することにより不利益を受けるとなると、ますます生理休暇が取りづらくなってしまう。


 私たちはこの「基本的な考え方」にある生理休暇の問題を女性部で検討した。なぜこのような提案がされるのか、会社は女性にとっての生理休暇の重要性がわかっていないのではないか、と意見が出た。そして、会社提案を改めさせるために、私たち自身も生理休暇のことをもっと学ぶ必要があると感じ、「生理休暇」をテーマに学習会を開催することとした。学習会はコロナ感染対策のためリモート併用で行い、男性組合員も「女性の働く大変さを理解するために」とリモート参加してくれた。


 学習会のなかでは、女性の生理のしくみや母性を守る制度、民間企業の「生理休暇への理解を深める取組み」などが紹介された。講義を受けた後、女性組合員が職場で生理休暇が取りづらい状況や生理に関する辛かった体験等を次々と語り誰もが自分1人の問題ではないと実感した。男性の参加者からも「生理休暇の無給化がどれほど深刻な問題かリアルにわかった。絶対に認めるわけにはいかない」と感想が寄せられた。


 「1965年に26%の取得率だった生理休暇が今は0.9%と知り驚いた。なぜそんなに下がったのか」、「生理休暇が必要なくなっているとは思えない」参加者からこんな疑問も沸き、職場実態を知るため生理休暇の緊急アンケート調査春闘期間に実施することになった。

 

生理休暇の緊急アンケートを実施

 

 アンケート調査では回答者の87%が「生理休暇は必要」と答えており、約7割の人が頭痛や腹痛、吐き気など辛い症状を具体的に記入してくれた。中には、「痛みが酷く、薬でも抑えられない」、「痛みでベッドから起き上がれない」、「バイクで配達中に貧血で倒れそうになった」、「貧血のため通勤電車で気を失った」という回答もあった。また、「要員が足りない」、「職場の男性に理解がない」、「男性の上司に言いづらい」など生理休暇を取りづらい実態も多数寄せられた。生理休暇を削減するのではなく、取得しやすい職場環境にすることが会社のやるべきことだと感じた。

 

 

 

 

 

会社の「基本的な考え方」を受け、郵政ユニオンは反撃ビラを作成、全国で一斉に宣伝行動を行った。労働者の批判の高まりと運動によって、会社は当初の提案を変更し、「夏期・冬期休暇の削減を見送る」、「病気休暇を1日目から有給で取得できる」とせざるを得なくなった。生理休暇については、正社員・非正規ともに有給休暇を1日付与するとし、5月に非正規社員の制度改正が行われた。


 ただし、2日あった有給の生理休暇を1日に削減、「賞与・昇給の減算除外」は廃止としたままである。


 非正規社員へ有給の病気休暇・生理休暇が私たちの運動によって制度化されたことは、非常に大きな前進であることは間違いない。しかし、本来なら今までの制度を損なうことなく、正規・非正規社員ともに有給の生理休暇2日を付与するべきものだ。ましてや生理休暇を取得することにより不利益を受けるような制度改悪は、労働基準法の趣旨に反するものであり、許されない。


 日本郵政グループには、全国で正規・非正規を合わせて約40万人の社員が働いており、そのうち半数が女性だ。会社は女性の管理者を3割にする目標を掲げ、「女性活躍」や「ダイバーシティ」の推進を謳っているが、女性が社会で活躍することを阻害するようなこのやり方は、時代に逆行し、働く女性の権利を侵害するもので、社会に発信している会社方針と相反するものだ。


 4月に本社との団体交渉が行われた。生理休暇についてのアンケート結果を手渡した上で「7年連続で黒字経営を続けている会社が、なぜこのような提案をするのか? 生理休暇を削減しないと会社の経営に影響があるのか」、「このような提案をする理由を明らかにせよ」と追及した。本社は回答不能に陥り、「持ち帰ります」と言うのみであった。


 正社員の就業規則改定は10月だ。それまでにさらに運動を広げ、すべての女性が安心して働ける職場を作っていきたい。

 

( 月刊全労連2022年10月号掲載 )

 

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#最低賃金を1500円に 引き上げたら、中小企業が潰れてしまう? 全労連はそうさせないための「中小企業支援政策」を提言します。長いですが、この機会にご一読ください。#物価にあわせた最低賃金を #参院選2022

全国一律 最低賃金実現に向けた全労連が考える「中小企業支援政策」

全労連事務局次長 秋山 正臣

 

はじめに

 全労連は、全国一律最低賃金の実現をめざした「最賃アクションプラン」を第28回大会で決定し、全国一律最低賃金1500円の実現をめざし、とりくみを進めてきた。
 全労連が行ってきた最低生計費試算調査では、全国どの地域でも生計費が変わらないことが明らかになった表1)。

     


 2021年の最低賃金改定では、地域間格差の是正を図るため、中央最低賃金審議会は28円の一律引き上げ額を答申した。


 しかし依然として、最高額と最低額の格差は221円のままとなっており、是正への道のりはまだまだといわざるを得ない。


 全国一律最低賃金の実現には、中小企業支援政策の充実が必要であり、意見交換しながら提言をとりまとめた。
 提言は、①中小企業への直接支援、②公正な取引の実現、③有効需要の創出という三つの柱で構成される。本稿では、その内容を報告する。


1 最低賃金引き上げの重要性

 「はじめに」でも述べたとおり、地域間格差是正には、多くの壁が立ちはだかっている。とりわけ、低い水準の県において、急激な引き上げが中小零細企業の経営を圧迫しているとの声が強く、経営者団体との懇談においても、中小企業支援策が欠かせない課題・話題となる。


 日本経済の鍵を握る中小企業(表2・3)を活性化させるには、個人消費を拡大させなければならない。そのためには、全国一律最低賃金制を確立させて多数の労働者の賃金を引き上げ、地域経済の好循環を図ることが必要だと考える。

 

 



 同時に考えなければならないのは、地域間格差の是正だ。地域間格差の拡大は、表4のとおり拡大してきた。2002年は104円であった地域間格差が、現在では221円と2倍を超えている。

 

※2002年の差額108円は104円に訂正致します。

 全労連は、最低生計費の調査結果から、最低賃金について全国一律1500円の実現を求めているが、いちばん低い県、高知県沖縄県は680円もの引き上げを行わなければならないこととなる。地場産業や零細企業にとって余りにも急激な負担増であり、実現は容易ではない。


 だからこそ、国による支援で引き上げを行いつつ、収益の流出を抑え、地域循環型経済を実現することが求められる。この地域循環型経済は、エネルギーをはじめ食料などについても域内での調達と消費を行うこととなり、気候危機打開に向けたとりくみとも軌を一にする。


2 中小企業への直接支援

 前述したとおり、中小企業支援策の第一は国による直接支援である。直接支援といっても助成金を支給するといったものから、税・社会保険料などの負担軽減によって支援する方法が考えられる。


 これはどちらか一方だけを行えばよいというものではなく、相乗的に行うことが必要と考える。施策の中には「卵が先か、鶏が先か」といったものもあるが、労働者の生活と、中小企業経営者の生活と営業のどちらも壊すことがあってはならない。こうした観点から、施策を提言している。


(1)最低賃金引き上げに伴う助成金支給
① 法定の最低賃金が引き上げられたことにより、賃金の改善を行わなければならなくなった事業所に対し、経営状態などを勘案して、事業規模に応じた助成を行うものに改正するよう求める。


② 必要な財源を試算する。加重平均で最低賃金は930円のため、最低賃金を1500円に引き上げるため、1時間あたりの助成額は300円程度必要と考える。そのため、月150時間労働で1人あたり年額は54万円となる。


③ 対象労働者数については、厚生労働省中央最低賃金審議会に提出している「賃金分布に関する資料」(都道府県別・総合指数順)で、東京都でも1500円未満の労働者が150万人近く存在し、鳥取県でも10万人程度存在することが確認できる。ただし、当該労働者には、大企業で働く労働者も多数存在していることが考えられる。


④ 助成金の支給については、地域経済の好循環につなげるため、必要な資金を事前に提供し、賃金引き上げからスタートさせることが必要だと考える。


⑤ 中小企業に対し、賃金引き上げのための助成金最低賃金改定時に国から前渡して支給する制度を創設し、1人あたり年額54万円を支給する。


(2)社会保険料の負担軽減で雇用をまもる
 最低賃金の引き上げは、対象となる労働者の大部分が中小零細企業で働く労働者であることから、経営に多大な影響を与える。そのため、賃金支払いが困難との判断が強くなれば、雇用労働者を正規雇用からパート雇用へ切り替えることにつながる危険性が生じる。


 これでは、労働者の収入拡大にはつながらず、地域経済にもメリットはうまれない。賃金を底上げし、正規雇用労働者を拡大させていく方向につながるようにしなければならない。

 以下、社会保険料の種別ごとに負担軽減策について説明する。

 

① 健康保険料
 全国健康保険協会の事業年報「協会管掌健康保険の適用状況(第一表)」(表5)によれば、2019年3月現在で適用事業所数が232万4510、被保険者総数が2479万3285人、標準報酬額の平均は29万2462円となっている。このため、事業所負担分は年額で約19万円となる。したがって、協会管掌健康保険適用事業所の事業所負担分全額を負担するとした場合の財源は、4兆4300億円余りとなる。

 

 

② 年金保険料
 厚生年金保険料は、保険料率の引上げが終了し、2018年10月から18.3%となっている。
 厚生労働省「厚生年金保険業態別規模別適用状況調」(2019年9月1日現在)(表6)によれば、規模299人以下の被保険者数は2137万5295人となっている。規模別の標準報酬月額の平均では、5~9人の標準報酬月額の平均が30万7604円と一番高いため、当該額を基礎に試算すると、年額で事業所負担額は34万3000円余りとなるため、全額で7兆7400億円程度となる。

 

③ 介護保険
 2021年度の介護保険料率は、1.92%とされている。全国健康保険協会の事業年報「協会管掌健康保険第一表(続)法第3条第2項被保険者」によれば、被保険者数は1317万9000人となっており、標準報酬月額の平均は31万7069円となっている。したがって、事業主負担分は年額で3万7097円となるため、全額を負担する場合の財源は4900億円弱となる。

 

④ 労災保険料
 労災保険の趣旨は、勤務中の災害を補償することであり、保険料の減免で事業主責任が軽減されるわけではない。賃金が引き上げられることにより、保険料収入が増えれば収支が改善され、全体的な保険料率引き下げが可能となる。また、保険料率の計算で労災事故によるメリット制が導入されていることもあり、保険料を国が負担することによる軽減措置をとることは、技術的・事務的にも困難と考える。

 

⑤ 雇用保険
 雇用保険料は、失業給付・雇用継続給付及び雇用安定事業などのための保険料であり、賃金の引き上げによって保険料収入が増大し、収支が改善されて保険料の引き下げが可能となる。
 保険料を国が負担する軽減措置をとることは技術的・事務的にも困難であることから、失業者に対する給付改善、助成金の拡充のため、国庫負担を拡大することを求める。
 ただし、雇用安定事業として徴収される事業主負担分については、雇用調整助成金などの事業所を対象とする給付金であるため、中小企業に対する保険料は免除対象とする。

 

⑥ 負担軽減案とそれに伴う財源について
 以上の通り、社会保険料に関する中小企業の負担軽減は、事業主負担分からどの程度軽減するかによる。試算した社会保険額の総額は13兆円となっており、全額免除とするには財政負担が余りにも大きいといわざるを得ない。単年度の負担軽減では済まされない課題でもあり、政治的な決断・判断が必要となる。


 これらをふまえ、恒常的に負担軽減を図る必要があるとの立場から、社会保険料の一律3割減免とし、4兆円弱の予算確保を提言する。


 社会保険制度は、保険料収入と国庫負担で保険制度の目的である給付を行うのであり、単純に考えれば国庫負担を一律に増やせばいい。


 しかし、財政全体を考えたとき、国庫負担を増やすことは収入となる税金の徴収を増やすことにつながるものであり、つまるところ中小企業経営者も労働者も負担が増えることとなる。


 社会保険料の減免などに必要な財源は、大企業に対する法人税減税の見直し、所得税最高税率見直し等によって賄うことが必要と考える。加えて、増額し続けている防衛費を削減し、中小企業支援の予算に回すべきと考える。なお、時限的に内部留保課税も検討を始める必要がある。


(3)税制改革による中小企業の負担軽減策

① 消費税法の見直し
 消費税の引き上げにより、価格転嫁のできない中小零細企業は次々と廃業した。また、導入が進められようとしている適格請求書(インボイス)制度も負担が大きい。
 原油価格の上昇をはじめ円安による物価上昇も続いていることから、消費税の引き下げとともにインボイス制度の導入見送りを求める。

 

② 所得拡大促進税制
 賃上げを実施する企業に対する税制上の優遇措置として、「中小企業向け所得拡大促進税制」がある。これは、継続雇用者給与等支給額が前年度比より1.5%以上増加した場合、増加額の15%を税額控除できる。前年度比で2.5%以上増加させた場合は、25%を税額控除できる。ただし、法人税額の20%が上限となっているため、賃金引き上げの効果を高めるためにも、増加額の50%を法人税額から控除するよう求める。

 

③ 事業承継税制の継続もしくは恒久化
 事業承継については、中小企業庁による相談対応、「事業引継支援センター」の設置、「事業承継補助金」、「税制措置(非上場株式等にかかる相続税免除、事業用資産の承継にかかる相続税贈与税の納税猶予・免除など)」、「経営承継円滑化法による総合的支援」などが行われている。


 相続税贈与税の納税猶予・免除措置は2028年12月31日までとなっているため、期間延長もしくは恒久措置とすることを求める。また、総合的支援窓口の拡充を求める。

 

3 公正取引の実現

(1)低価格入札の防止
 印刷業界では、重層下請構造で最下層にあたる製本業者にしわ寄せがなされ、最盛期から70%もの事業者が減少し、業界の存続さえ危ぶまれている。口頭契約、後指値、支払いの先延ばし、過剰なクレームによる返品や、やり直しなどがまかり通り、公正取引委員会にも訴えることができないなど、深刻な実態にある。低価格入札の防止が必要であり、下請代金支払遅延防止法の履行確保を図ることなどにより、防止措置を実効性のあるものとしていくことが必要だ。


 実効性を高めるためには、罰金額の大幅な引き上げなど実効性の確保が欠かせない。また、厚労省中小企業庁における通報制度が十分に活用されていない。
 経営者が「買いたたき」など不当なしわ寄せを受けていると考えられる場合は、労働組合から積極的に告発する。

 

(2)フリーランサーやプラットフォームへの規制について
 公正取引を実現させる観点では、増大するフリーランサーやプラットフォーム事業者に対する規制を検討する必要がある。


 労働法の原則は、実態に応じ判断することとされており、指揮命令など従属性が強ければ労働者となる。しかし、従属性が弱いとなっても、取引に関して対等とはいえないことから、事業者であっても何らかの保護を行うことが求められる。


 したがって、労働者としての判断がされない場合であっても、労働者に対する賃金支払いなどで保護される水準に必要な経費相当分を加味した額が保障されなければ、下請法に反するとして、反則金の徴収など罰則を加えることを求める。


 プラットフォームについては、発注者と仲介者が存在する。発注者が国外の場合もあり、使用者責任を問うことが困難なケースもある。また、仲介者であっても国内に存在するとは限らない。国境を簡単に越えるシステムであることから、国内法で規制することには限界がある。したがって、国際的な取り決めを行うよう政府に求めるとともに、国内法による規制法の創設を求める。

 

(3)「下請代金支払遅延等防止法」の履行確保と法改正
 下請代金支払遅延防止法第2条の2にもとづき定められている指針では、「下請代金の減額」(表7)、「返品」、「買いたたき」などが禁止されている。このため、公正取引委員会では中小企業者専用相談窓口を開設し、情報の提供を呼びかけている。
 法の履行を確保するため、公正取引委員会の拡充を求める。
 急速なデジタル化の中、このような形態で働く個人が増加しており、支払いに関する紛争も増加している。弱い立場にある個人請負労働者を保護するため、対象範囲を見直し、法改正を行うよう求める。

表7




4 有効需要の創出

 (1) 地域における有効需要の創設では、公共投資が中心として考えられてきたが、建設業に従事する労働者数は減少を続ける一方、医療・福祉・介護分野に従事する労働者が増加している。これらの分野で働く労働者の賃金は、公務員労働者の賃金を参考にしつつも、診療報酬や介護報酬など保険制度による制約を受けている。
 これらの点から、社会保険の診療報酬・介護報酬などの改定を国に迫ることも重要となっている。保育の分野でも同様であり、運営費の増額がなければ保育士の賃金改善は進まない。劣悪な労働条件が保育士不足の原因でもあり、運営費の増額で賃金引き上げを求める。

 

 (2)中小企業振興条例の制定が進展(理念条例を含む)しているが、中小企業振興、地域経済の活性化の施策を具体化する「円卓会議」を設置するなど、実効性の担保が課題となっている。そのため、自治体による中小企業への発注等を義務づける等の対策が求められるが、引き続き、すべての自治体で中小企業振興条例が制定されるよう求める。
 

 (3)社会生活にとって欠かせないインフラを整備することは、持続可能な社会を構築する上で欠かせないことであり、長期にわたる計画的な工事を行うことが求められる。計画的なインフラ整備は、技術者の育成と「地消地産」にもつながる。
 こうしたインフラなどの整備は、気象条件をはじめ、地域に応じた計画と対策が求められるため、国による支援を元に、地方自治体が主体となって住民とともに計画を作成し、実行することが求められる。この際、予算単年度主義による工事発注などではなく、耐用年数や減価償却なども考慮した限界工事量を設定し、長期にわたる計画的な発注を行うことが求められる。


 (4)官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律を実践するため、発注単価の計算に最低制限価格を必ず導入する。その積算においては、従事する労働者の労働時間を勘案するものとし、国において発注単価を示すこととする。
 なお、国・自治体などが発注する場合における入札参加資格において、中小企業が参加できる範囲を拡大するため、分割発注を増加させるとともに、設定金額の引き下げを求める。


 (5)国などが行う契約、調達、役務などでは、従事する労働者の賃金についての考慮はなされておらず、入札が繰り返されることにより、当該事業に従事する労働者の賃金が低水準、最低賃金水準に据え置かれ、官製ワーキングプアの温床となっているとの批判がなされている。依然として国及び多くの自治体においては、財政事情を理由とした低価格での落札が相次いでおり、労働者の賃金が低水準に据え置かれるなど、問題は山積している。
 2016年に公共サービス基本法が制定されているが、実質的に機能していないことから、従事する労働者の賃金を重視した「公契約法」及び「公契約条例」の制定及び、労働報酬下限額の設定が求められる。


 (6)「小規模企業振興基本法」において、下請企業振興法が定める「振興基準」を条文に付加し、下請け事業者に不利益な契約に対するコスト負担などを定める。
 小規模企業以外の下請け企業に対する振興基準に反するような取引に対し、中小企業庁による監視体制の強化、親企業に対する指導など行政処分を強化する。


 (7)事業協同組合等が労働環境の「改善計画」を策定し、認可を受けることによって助成措置を受けることができることとされている。これら助成金については、申請が複雑であることなどから、簡素化や要件の緩和などを求める。
 加えて、「独占禁止法」第22条の活用を図るには、「中小企業等協同組合法」に基づく届け出などを必要としているため、手続きの簡素化など要件緩和を求める。


 (8)最低賃金の引き上げは、中小零細企業の経営に多大な影響を与えることから、密接な関係にある地域金融機関を強化・重視すべきであり、金融政策においても政策の方向転換が求められる。


おわりに

 以上提言の内容を紹介してきたが、新型コロナウイルスによる感染防止対策の必要性などにより、中小企業の経営が脅かされ続けている。ロシア政府によるウクライナ侵略から、国際情勢は戦渦が広がる危険な状態にある。


 日本が戦争に巻き込まれるようなことがあってはならず、平和を維持するための外交努力がいまほど求められているときはない。


 一方で、人びとの営みをまもるため、政府が役割を発揮することが求められる。諸物価の高騰によって実質賃金の低下に苦しむ労働者が増加することが懸念される。
 最低賃金の引き上げは、「持続可能な地域社会の実現」につながるものであると考える。


 本提言を契機として、政府の中小企業対策が強化され、「全国どこでも1500円の最低賃金」が早急に実現し、国民の誰もが、環境に優しく豊かでゆとりある生活を送ることができるように願ってやまない。

 

( 月刊全労連2022年7月号掲載 )

 

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Twitterデモだけじゃない! 経営者との交渉を有利に進めるためのSNS活用術 #労働組合ができること ユニオンちよだ書記長 鈴木 明彦

 ユニオンちよだは、2014年にホームページ(以下HP)を立ち上げ、若いひとたちにも馴染みやすいように、デザイナーに依頼してゾウ・ライオン・フクロウをイメージキャラクターに起用した。 

 

HP: ユニオンちよだ (unionchiyoda.org)


 スマートフォンが普及するにつれて、ますますネットで労働組合を探す労働者が多くなり、HP経由での労働相談や加入者が約7割に達してきている相談に来られた方にユニオンちよだを選んだ理由を尋ねると、「HPのデザインが良かった」、「活動内容や解決実績が掲載されていて信頼できる」という声が多かった。


 2020年になると新型コロナ問題が起きたことで、環境的に社前での抗議行動が難しくなってきたため、本格的にTwitterFacebookを活用して情報発信するようになった。この頃からSNSには、要求書や会社側の回答書、訴状や救済申立書、ビラや抗議行動の画像もアップし始めた。

会社の実名を入れて不当な行為を社会に拡散することで、会社を追い詰め解決へと繋げている。


 例えば、某外資系食材販売会社で従業員が解雇された問題では、ユニオンちよだと当該組合員とでTwitterFacebookで会社の問題行為や経緯を発信し続けた。社前抗議行動の画像もアップした。その結果、労働審判ではユニオンちよだも利害関係者となり、SNSの投稿を削除することで満額回答の和解が成立した


 会社とユニオンちよだで協定書を締結するケースもあった。某会計事務所における解雇問題では、不誠実な団体交渉が続いたためSNSで情報を発信した。その後、労働審判で解雇問題は和解が成立したが、会社は組合との協定は拒否した。しかし数日後、一転して会社からSNS投稿の削除依頼とユニオンとの協定書を求めてきた。どうやら会社の関係者がSNSを見たらしい。


 ときには、ユニオンちよだのSNSに対し抗議する会社もあった。某IT会社における解雇問題では、団体交渉の場で「ユニオンのSNSは名誉棄損だ、訴える」などと脅してきた。関係者(従業員や同業社)からのリツイートなどの反響が大きかったからである。しかし、ユニオンちよだは、事実と判断した事しか発信しておらず正当な組合活動の範囲内であると反論し、削除することなく発信し続けた。この件もSNS投稿の削除を条件に和解が成立した。


 会社がSNS投稿の削除を求めてくるメールには、「現在、弊社名がHP/Facebookに存在します。以下部分を含めて、弊社名の記載がある箇所の会社名削除等のご対応をお願いいたします」、「1点お願いがあり、ご連絡させていただきました。貴組合の〇月〇日付の下記ツイートですが、合意書の取り交わし後で構いませんので、削除いただけませんでしょうか」などと書かれている。


 また、ユニオンちよだは、某外資系治験会社に分会をつくり公然化している。この分会では、ブログによりパワハラやPIP(業務改善計画)など会社の問題行為を公開している。このブログにより労働相談や分会への加入につながっている。


 ところで、2020年に検察官定年延長法案を見送らせたのはSNSの威力であった。やはりコロナ禍であるからこそのTwitterデモであった。同様に会社の不当な行為も、SNSで運動を広げることにより会社を追い詰めること、すなわち早期解決につながると確信している。

 

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