月刊全労連・全労連新聞 編集部

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Twitterからつながった労働相談 #労働組合ができること 福岡県労連事務局次長 渡邉 宏

「労働問題を解決するということは奪われた人間としての尊厳を取り戻すことだ」


 これはある弁護士が学習会で言った言葉で、私の座右の銘となった。職場でのトラブルはないに越したことはないが、日々なにかしらのトラブルが起こっていてそれで心を痛めている人がいる。大なり小なりはあってもその人にとって日常が奪われる出来事なのだ。できるだけ元の日常を取り戻すための手助けができれば、といつも考えている。


 時間外労働による過労で脳塞栓症を発症し、右麻痺が残り働けなくなったというビル清掃をする72歳の方から相談があった。その方の日常は戻ってこない。会社は労務管理をまったくおこなっておらず、高齢による身体的危険性を承知しながらも、人手不足を理由に5~6時間の残業を放置していた。にもかかわらず、労災申請は時間外労働として認定する一般的基準に当たらないと労災不支給となり、損害賠償請求は業務との因果関係が認められないとして、会社の注意義務違反に言及せず棄却となった。


 高齢者に労働災害が発生した場合、若年労働者と同様の基準で審査されれば労災であっても、高齢ゆえのさまざまな理由で補償が認められず、仕事も生活も奪われる事態が増加している。そもそも年金額が低すぎるから働かなければならず、しかも多くの高齢者は基礎疾患を抱え、リスクと隣り合わせで働いている。それを社会は放置していいのだろうか。


 一般的に社会的弱者と言われる方ほど、トラブルにあいやすい。どこに相談していいかわからず泣き寝入りしているケースが多く埋もれていることは想像に難くない。私たちはその小さな声を見逃してはならない。


 労働相談センターへの電話からではなくTwitterからつながった労働相談があった。発端は組合員から、Twitter上で助けてとつぶやいている人がいるから連絡とってみてはと言われたことから、DMを送った結果、来局相談へとつながった。相談内容はコンセプトカフェで勤務している20代の方で、突然オーナーから「もう来なくていい」と言われ、賃金も支払われていないという相談だった。どこに相談していいかわからずTwitterで発信していたということだった。組合に加入し、交渉を行い、一部賃金を支払わせることができた。最近では、学生アルバイトでもコンビニなどではなく、こういった接客業になんの知識もなく飛び込んでトラブルにあうというケースが増えているのではないかと思う。教育の問題や若者を取り巻く労働の問題が背景にあるのではないかと感じた。また、シフト制アルバイトの問題とも重なる部分がある。


 コロナ禍の影響が大きい飲食業で、店が休業もしくは時短勤務になったことでシフトが減らされ、収入を失ったというケースが相次いだ。休業支援金などの制度はあるが、制度を活用したところは少なく、多くの労働者が泣き寝入りしているとみられる。


 労働相談ひとつひとつも大事であるが、私たちはその奥にある社会構造の問題を忘れてはいけないと思う。相談対応は大変だがやりがいもある。でも本来は相談なんかこないほうがいい、労働問題などない社会を目指さないといけない。そのためには団結してたたかうことが必要だ。全労連に結集したたかう意味はそこにある。いまこそ全労連の出番だと感じる。 

 

 

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(月刊全労連2022年7月号掲載 )

 

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