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【徳島】一時金も昇給も退職金もなかった職場で、労働組合をつくって交渉してみたら… #労働組合ができること JMITU徳島地本地域支部物産館分会

労働組合があったからまともな会社になった!従業員は全員が組合員

JMITU徳島地本地域支部物産館分会 

 

 コロナ禍で多くの業界が痛手を被りました。観光業界はその代表格とも言えるでしょう。JMITU徳島地本地域支部物産館分会も例に漏れず。徳島の名産品を取り揃える人気のおみやげ店です。

 

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徳島地本地域支部物産館分会の山田代表(写真右)と物産館の組合員のみなさん

 観光客減少により売上が例年の50~60%に落ち込みました。少しずつ、来客数は回復傾向にあるものの、いまだに週1~2日程、会社から休業指示が出されています。休業手当は100%保障、給与は下がっていないが、賃上げは2年ない状態です。

 

 さらに昨年の年末一時金はゼロという回答そこで売り上げを徹底的に見直し、4月、5月は従来通りかむしろアップしていたことが判明しました。コロナを理由にゼロにはできないと迫り、合計3回の交渉を経て、1か月の一時金を勝ち取りました

 

 そもそも、この物産館分会はセクハラ・パワハラの労働相談がきっかけで2006年に結成されています。当時、エスカレートするセクハラ被害に加え、全員が整理解雇寸前の状況からスタートしました。

 

 そして現在、何より驚くのが、従業員全6名(正社員4人、パート2人)、全従業員が組合員だということです。山田代表は新しい従業員が入社するたびに1時間ほどかけ、説明を行っています。自分の身にも起こりうるセクハラや解雇問題を組合が解決したこと。組合で要求を提出してはじめて賃上げや一時金・退職金要求を勝ち取ることができたこと。組合結成前と後で具体的に賃金がいくら違うのかなど、組合があったからまともな会社になったのだと必ず話しているそうです。丁寧に説明することで共感を得て、全員の組合加入につながっています。

 

 これは今までどんな理不尽な目にあい、組合として奮闘し、要求を勝ち取ってきたのか、その真剣さが伝わればこその結果です。組合結成時の話や経緯、歴史を伝えていくことで、いまの労働条件は当たり前のものではないことが分かります。また、職場で起きた労働問題が、他人事ではなく自分事として考えられることが、組合の存在意義をより強くしているのでしょう。

 

 山田代表は面接・採用にも携わったり、HPの立ち上げを行い、ネット注文を可能にするなど、雇用を守るために、経営を守ることにも力を入れています。組合の要求を通じて、経営者と労働者双方にとって良い方向に変化しているのです。

 

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この記事は「JMITU」(2022年1月10日発行)から転載しました。