月刊全労連・全労連新聞 編集部

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コロナで売り上げが落ちたからといって、一方的に賃金をカットしてもいいのか? 労働組合を作って交渉してみたら…愛媛労連・愛媛一般労働組合四季分会 #労働組合ができること

愛媛労連・愛媛一般労働組合 書記長 今井 正夫


コロナ禍で労働組合を結成した理由


 新型コロナウィルスの影響による業績悪化を理由に、正規職員に対して賃金総額から10%を一律にカット。突然かつ一方的な通告に憤った労働者が、業績不振の穴埋めを労働者に押し付けることは到底承服できないとして、愛媛労連労働相談センターに相談。愛媛一般労働組合に当事者が加入した。


 愛媛県松山市内にある仕出し・弁当・食堂委託などを行っている会社で、歓送迎会やお花見のシーズンとして見込んでいた仕出し部門の売上が、新型コロナウイルスの影響を受けたというのが賃金カットの理由だ。どのくらいの期間行うかも未定ということであった。圧倒的に多いパート従業員に対しても10%カットを行おうとしていたが、最低賃金を割るという理由から正社員のみに行われた。正社員は10数人であったが、少なくても月額2万円、それ以上の賃金カットに従業員からも不満が出ているという。そうであるならば、1人より2人、2人よりは3人!と組合を公然化する前に、職場の同僚にも声をかけてもらう期間を1週間取った。2人が組合への加入を決め、職場に労働組合を結成することとなった。

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団体交渉で労働組合の力が発揮される


 結成した愛媛一般労働組合四季分会は、交渉の準備を行いながらも声かけを続け、役員を除いた正社員の半数が組合に加入した。結成通知書と要求書提出で対応した社長「会社を潰すんか」「誰が加入しているのか」をしきりに気にし、組合結成に嫌悪感を示した。団体交渉では賃金カットの撤回と、不当にカットされた賃金の返還の2つを要求。社長は賃金カットをしなければ、人員の削減もやむを得ないと、営業部門が余剰であると名指しはしないものの、分会長の解雇も辞さない態度を示してきた。労働組合からは手付かずになっている雇調金、また松山市が独自に行うコロナ支援策も提示し、会社に雇用と労働者の生活を守るためにできる方法も提示した。団体交渉で一方的な不利益変更はできないと知った社長は、労働者個別に賃下げを申し出たが、実際に賃下げに応じた従業員はいなかったことから、賃金カットを撤回した。しかし、資金繰りの悪化を理由に、カットされた賃金の返還にはなかなか応じなかった。労働組合の粘り強い交渉の結果、ようやく返還を約束し、年末にカットされていた賃金全額を返還させた
組合の力を感じた


 職場で労働組合の姿をみせたことにより、パート従業員も声掛けに応じ加入。21春闘では「組合とは?」の学習やパート従業員の無期転換や、労働条件通知書の作成など苦労しながらも要求作りを行った。分会を強く大きくするために、引き続き組合員の要求をくみ取りながら、奮闘している。

 

( 月刊全労連2021年10月号掲載 )

 

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