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【京都】労働組合に加入して交渉したら、一発で賃金カットが撤回された件 京都労働相談センター相談員 森下宇太郎 #職場の悩み全労連が聞きます 

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労働組合に相談して加入・交渉したら、一発で賃金カットが撤回された件 

京都労働相談センター 相談員 森下 宇太郎

 

3月24日(水)・「近所の組合役員から紹介された」と電話相談


 従業員15人のサービス業に、正社員として勤務するAさんからの電話。「近所の組合役員(京都総評参加の公務員労組)に相談したら、相談センターを紹介されたので、電話をしている」、相談内容は「昨日、会社が賃金を下げると一方的に通知してきた。理由は新型コロナの影響で、業績が悪化したと。受けないといけないのか」というものであった。


改悪内容とアドバイス


現行月額24万円の賃金を25%カットして、18万円とする
909円(京都府最低賃金)×8時間×20日=14万5440円+歩合給とする。歩合給の内容は、Aさんの売り上げが月50万円を超えたら、超えた額の50%を積み立てておき、積み立てた金額を半年毎に支給する。①もしくは②のいずれかを選択でき、4月度より実施する。


 これらに対し、正当な理由がなく、本人の同意を得ず賃金を一方的に切り下げることは、違法・無効であることと、解決方法は「組合を結成し交渉する」、「一人でも加入できる組合に加入し、交渉する」、「労働局にあっせん申請」、「切り下げの拒否を会社に伝え、それでも一方的に切り下げてきたら、労働審判でも争える」とアドバイスをし、検討してもらうことになった。同日、「面談での相談をしたい」との電話があり、相談をセットした。


一次、二次面談を経て、組合加入


 3月26日、面談でAさんは「賃下げは納得できない」、「私の主な業務は、資料作りであり、営業職ではないので、歩合給が適用されるのは納得できない」と主張されたので、いくつかの解決方法を説明した結果、再度検討することになった。5日後の3月31日に「一人でも加入できる労働組合に加入し、現状維持を要求したい」との電話が入り、全労連全国一般労働組合京都地方本部を紹介し、「申し入れ並びに要求書」を作成し会社に郵送した。

 

申し入れ並びに要求書の骨子

 ①Aさんが本年3月31日に全労連全国一般労働組合 京都地方本部に加入したこと
 ②会社の賃金切り下げ提案を拒否すること。本人の同意なく、賃金を一方的に不利益

変更することは違法であること
 ③4月以降も従前の労働条件を保障すること
 ④団体交渉の日時・場所を連絡してくること

 

団体交渉を待たず、約2週間後に満額回答


 団体交渉を開催することもないまま、4月16日付の合意書(協定書)が組合に届いた。
 その内容は、「会社は今回の会社提案は撤回し、4月以降についても従前の労働条件を保障する」というもので、満額回答であった。


スムーズに解決した要因は?


 組合役員が「組合活動をしていること」を、日常的に居住区・知人に広く知らしめていたこと。会社の改悪提案を受けたAさんが、躊躇することなく近所の組合役員に相談したこと。組合役員が労働相談センターを知っていたこと(センターの周知活動の大切さ)。Aさんが直ちに組合加入を英断し、「改悪提案から撤回要求」まで素早く対応できたこと。「全労連全国一般労働組合 京都地方本部」の活動が、広く社会的に知られていることなどがあげられると感じている。

 

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