月刊全労連・全労連新聞 編集部

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退職金未払いのまま逃げることは許さない!10年間粘りに粘って、27人分の退職金をきっちり支払わせました。奈労連・一般労働組合 委員長 井ノ尾寛利 #労働組合ができること 

あきらめずにたたかい争議解決へ! 退職金未払い問題解決まで10年、粘り強く

奈労連・一般労働組合 委員長 井ノ尾寛利

 

 マロン(株)(本社東大阪市・工場は大和郡山市)の退職金未払い問題で、奈労連・一般労組マロン支部が支払いを求め、最終的解決まで10年を超えるたたかいとなった。


会社は稼働しているのに賃金不払い3ヵ月


 そもそもの発端は、賃金の遅配が続く中、「なぜ払わないのか」と1人の従業員が上司に質問したことにより解雇されたことに始まる。会社には組合がなく、奈労連へ相談するしかなかったという。労働組合の全面支援で裁判に勝利解雇を撤回させ、職場復帰となった。しかし、その後も会社の不当な攻撃を受けた他の従業員が自主退職に追い込まれていく中、ついに全従業員の賃金未払いが3ヵ月も続いた。


 組合員は、監督署に未払い賃金で告発、また雇用保険の補償に向けてハローワークや奈良労働局に繰り返し申し入れた。かつては300人以上もの従業員を抱え、海外販売を手掛ける有名デザイナーのカバン用、皮革レザーなど長年にわたり製造をしていた会社であった。


ストライキを構えての抗議の集会や深夜の団体交渉


 この間、会社の従業員食堂で80人がストライキを構えての抗議の集会を行い、年末には本社会議室で組合員が深夜にわたる朝方までの団体交渉にのぞみ、要求額とは程遠かったが、「年越しの一時金」を支払わせることを約束させた。


退職金の未払いは続く


 社長は意に沿わないと会社幹部を入れ替え、会社代理人弁護士の解任を繰り返した。組合員全員が退職し、他社に就職する仲間も出てきた。数年の月日を経てあきらめも生まれていたが、それでも互いに組合員で連絡を取りながら「このまま退職金をあきらめたくない」と決断し提訴。裁判傍聴やメーデーや定期大会など奈労連の企画する集いに参加するなど、粘り強くたたかいぬいた。


27人が最後までたたかいを継続


 今年の7月、ついに本社・不動産の競売を経て、未払い退職金を勝ちとった。争議中に社長の病死もあり、困難を極めた。当初組合に加入しないで1人で裁判をはじめた人もいた。しかし、「1人では相手には勝てない」と組合に合流してきた。担当弁護士の分析と丁寧な説明によるところも大きかった。


 争議解決に至った日の報告会で、それぞれ新職場で仕事をしている組合員と連絡を取り、丁寧につなぐ役割を果たした西村早苗さんは、涙ながらに「解決できて感無量です」と感想を述べた。「こうやって、時々に集まったことが励みになった」と語る組合員もいた。

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報告会の様子

( 月刊全労連2021年12月号掲載 )

 

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