月刊全労連・全労連新聞 編集部

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Twitterデモだけじゃない! 経営者との交渉を有利に進めるためのSNS活用術 #労働組合ができること ユニオンちよだ書記長 鈴木 明彦

 ユニオンちよだは、2014年にホームページ(以下HP)を立ち上げ、若いひとたちにも馴染みやすいように、デザイナーに依頼してゾウ・ライオン・フクロウをイメージキャラクターに起用した。 

 

HP: ユニオンちよだ (unionchiyoda.org)


 スマートフォンが普及するにつれて、ますますネットで労働組合を探す労働者が多くなり、HP経由での労働相談や加入者が約7割に達してきている相談に来られた方にユニオンちよだを選んだ理由を尋ねると、「HPのデザインが良かった」、「活動内容や解決実績が掲載されていて信頼できる」という声が多かった。


 2020年になると新型コロナ問題が起きたことで、環境的に社前での抗議行動が難しくなってきたため、本格的にTwitterFacebookを活用して情報発信するようになった。この頃からSNSには、要求書や会社側の回答書、訴状や救済申立書、ビラや抗議行動の画像もアップし始めた。

会社の実名を入れて不当な行為を社会に拡散することで、会社を追い詰め解決へと繋げている。


 例えば、某外資系食材販売会社で従業員が解雇された問題では、ユニオンちよだと当該組合員とでTwitterFacebookで会社の問題行為や経緯を発信し続けた。社前抗議行動の画像もアップした。その結果、労働審判ではユニオンちよだも利害関係者となり、SNSの投稿を削除することで満額回答の和解が成立した


 会社とユニオンちよだで協定書を締結するケースもあった。某会計事務所における解雇問題では、不誠実な団体交渉が続いたためSNSで情報を発信した。その後、労働審判で解雇問題は和解が成立したが、会社は組合との協定は拒否した。しかし数日後、一転して会社からSNS投稿の削除依頼とユニオンとの協定書を求めてきた。どうやら会社の関係者がSNSを見たらしい。


 ときには、ユニオンちよだのSNSに対し抗議する会社もあった。某IT会社における解雇問題では、団体交渉の場で「ユニオンのSNSは名誉棄損だ、訴える」などと脅してきた。関係者(従業員や同業社)からのリツイートなどの反響が大きかったからである。しかし、ユニオンちよだは、事実と判断した事しか発信しておらず正当な組合活動の範囲内であると反論し、削除することなく発信し続けた。この件もSNS投稿の削除を条件に和解が成立した。


 会社がSNS投稿の削除を求めてくるメールには、「現在、弊社名がHP/Facebookに存在します。以下部分を含めて、弊社名の記載がある箇所の会社名削除等のご対応をお願いいたします」、「1点お願いがあり、ご連絡させていただきました。貴組合の〇月〇日付の下記ツイートですが、合意書の取り交わし後で構いませんので、削除いただけませんでしょうか」などと書かれている。


 また、ユニオンちよだは、某外資系治験会社に分会をつくり公然化している。この分会では、ブログによりパワハラやPIP(業務改善計画)など会社の問題行為を公開している。このブログにより労働相談や分会への加入につながっている。


 ところで、2020年に検察官定年延長法案を見送らせたのはSNSの威力であった。やはりコロナ禍であるからこそのTwitterデモであった。同様に会社の不当な行為も、SNSで運動を広げることにより会社を追い詰めること、すなわち早期解決につながると確信している。

 

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