月刊全労連・全労連新聞 編集部

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【大阪】西日本で唯一の特定感染症指定医療機関「りんくう総合医療センター」の感染症センターで、未払い賃金を支払わせた件について #労働組合ができること

いのち守る災害拠点のたたかい 医療従事者に正当な対価を!そして、安心・安全の職場環境を

大阪自治労連 特別執行委員 荒田 功


 大阪・泉佐野市の地方独立行政法人であるりんくう総合医療センターは、大阪府の南の地域である泉州の広域医療を守る基幹病院であり、災害拠点病院です。


 ここの感染症センターは西日本で唯一の特定感染症指定医療機関(全国では4ヵ所)として、この間、コロナの感染拡大が収まらない大阪で、住民のいのちを守る最後の砦として大きな役割を果たしてきました。


 病院現場の状況について、りんくう総合医療センター労働組合常玄大輔委員長は「感染拡大の第4波、第5波では重症者を受け入れるために、昼夜を分かたず医療や看護を続けてきた」、「日々の感染リスクや病棟の再編などで、職員同士もピリピリしている」と話します。


未払い賃金の支払いと法令遵守を約束させた「勝利和解」


 コロナ感染拡大が始まる以前の2017年、総合医療センター当局は、財政難を理由に労働組合の合意なく賃金カットを強行しました。泉佐野市の財政悪化のツケを自分たちの賃金カットにされると分かった時に、これはおかしいと思いました。労使交渉は平行線となり、労基署も思うように動いてくれない。「いくら立派な医療をしていても、法を守らない病院に未来はない」と155人の組合員が裁判所に提訴しました。


 3年間の裁判闘争を経て、2021年5月20日に大阪地裁堺支部において、病院当局に未払い賃金の支払いと法令遵守の徹底を約束させる勝利和解を勝ち取りました。原告団の先頭に立ってたたかった、りんくう総合医療センター労働組合の常玄委員長は「お金の問題ではなく、献身的に働く医療労働者の実態を見ていただき、改善させたかった」と言います。


 また、裁判闘争の中で、「組合に入りたい」と加入した職員が多くあったことが嬉しかったと語りました。

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もっと安全に働ける職場環境をめざして


 一方で、36協定(労働時間の上限規制)について常玄委員長は「労働者代表として職場に説明してきたが、『職場がまわらない』『超勤ができない』と言われ、特別条項に合意せざるを得ず、本当につらかった」と現場の課題を話します。 労働環境を良くしたい。みんな仲良く働きたい。でも、その中で組合として病院当局に言わなければならないことがあります。


 引き続き、これからも職員が安心・安全に働ける環境にするため、一つでも要求を実現させていきたい、職場内ハラスメントや、困っている人を助け、目に見える組合活動を意識していきたいと決意を新たに奮闘しています。

( 月刊全労連2022年1月号掲載 )

 

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