月刊全労連・全労連新聞 編集部

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あの日立で「追い出し部屋」から組合員を異動させ、追い出し部屋そのものを撤廃させた件 電機・情報ユニオン神奈川支部 #労働組合ができること

電機リストラとのたたかい

日立で人権侵害の「追い出し部屋」撤廃を目指してたたかった

電機・情報ユニオン神奈川支部 執行委員長 中村 由紀子


日立ICTビジネスサービスは、日立のリストラ施策の受け皿会社


 2020年11月、電機・情報ユニオンは日立関連子会社・日立ICTビジネスサービス(以下、日立BS)で働く女性労働者から相談を受け、会社に団体交渉を申し入れた。女性は1982年に日立製作所へ入社。2017年11月までの35年間、日立IT事業部門での営業事務のアシスタント業務をしてきた。2016年10月、20~30人いた所属部門の職場が丸ごと現在の日立BSに業務移管され、翌17年12月、現在の会社に移籍(転籍)となった。
 

移籍後も同様の職務(営業事務のアシスタント)であったが、18年10月、突然「日立エンジニアリングの派遣先で欠員が出た」という理由で配転命令が出され、同種の仕事をしてきた。


 しかし、元の職場に半年で戻され、上司からは「仕事のパフォーマンスが低い」「どうせ前の部署でも使えなかったんだ」「エクセルの勉強をするため、キャリアGに行ってもらう」と罵詈雑言を浴びせられ、2019年7月から日立BS総務管理本部人事勤労部キャリアグループに異動となった。

 

異動後の職場は「追い出し部屋」


 異動先のキャリア本部・キャリアサポート室という部署は、女性労働者によれば、彼女のように職場で余剰とされた人に「自己退職を勧める」いわゆる「追い出し部屋」で、絶えず十数人から二十数人が、自己研鑽を強要され、「マイナビ」や「産業雇用安定センター」の紹介で社外の職場を自分で探し、面接を受けさせられた。その際に「自分の仕事が縮小傾向にあるので、自分のスキルを活かして御社で貢献したい」と言うようにと言われ、再就職をして、次の職場を決める覚悟を示せと言わんばかりのことを強いられ続けた。面接に失敗すると、「自分に何が足りないのか、オファーがないのはどうしてだと思う」、「あなたには市場価値がない、他部署の人達からも『いらない』『いやだ』と言われている」、さらに、当社では「作業系(現業)の仕事しかない。事務の仕事をしたいのなら(辞めて)他で探すしかない」など侮辱され続けた。

 

電機・情報ユニオンのビラを見て相談に駆け込む


 日立関連の職場には、現場作業の仕事しかないと、片道2時近くかかる職場への異動を提示され、ようやく相談に駆け込みユニオンに加入した。団体交渉では、退職強要を止め、上司によるパワハラへの謝罪とスキルを活かした職務提示を求めた。さらに2021年3月に行われた共同での省庁要請で「追い出し部屋」の実態を告発した。

 

日立の株主総会で「人権侵害」を問い質す


 ユニオンの組合員でもある株主が、女性の職場で行われている退職強要の実態を日立に問い質した。会社役員から「再就職を強いるようなことはないと理解している」との回答を得、団交で問い質した結果、会社側は退職強要の事実を否定するかのごとく直ぐに、異動先を同じ日立BS内に提示すると約束した。4回目の団交で、女性は「追い出し部屋」から新たな職場へ異動となり、直後の10月1日付けでキャリアG・キャリアサポート室(追い出し部屋)は撤廃された。

 

電機・情報ユニオンホームページ:電機・情報ユニオン - 総合 (denki-joho.jp)

 

( 月刊全労連2022年2月号掲載 )

 

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