月刊全労連・全労連新聞 編集部

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「コロナで高校生の息子のバイト先から休業指示があったのに、休業支援金が支払われない」という相談が。労働組合が労働局と交渉した結果は? #労働組合ができること おおさか労働相談センター 事務局長 福地 祥夫

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春の労働相談ホットライン


 3月2日の春のホットラインに高校生A君の母親から相談があった。


 友人を誘い近所の居酒屋でアルバイトを始めたが、コロナ感染拡大を理由に「休むよう」店から指示された。二人は連絡を取り合いながら新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の申請書手続きをしたが「書類不備」で送り返されてきた。休業支援金集中処理センターと連絡を取り書類のやり取りを行う中で、友人にだけ「未成年なので」と親の承諾書が送られてきた。A君には承諾書が同封されていないので問い合わせたが説明はなかった。しかし後になって「親の承諾書が必要」と書類が返された。さらに処理センターから「事業所と確認が取れない」、「申請を取り下げるか」との電話がスマホに入った。A君は申請を諦め、友人をバイトに誘ったことに責任を感じている。
 母親は処理センターの対応に電話で抗議したが「全く聞く気がないような対応、どうすれば良いのか」との内容だ

 

休業支援金・給付金申請に関する労働局交渉


 コロナ関連の休業支援金・給付金では「事業所の協力が得られない」「労働局の対応が悪い」との相談が早い段階から寄せられていた。労働相談センターは1月18日に大阪労働局と交渉を行い、労働契約書や給料明細の発行をしない事業所が多い実態を訴え、事業所が協力しない場合でも「労働者を守るため血の通った取り組みを」と申し入れ、労働局からは「事業主が協力しなくても、シフト表や振込通帳など労働者が提示する資料をもとに、事業所への確認を行い総合的に判断するとの回答があった。

 

A君の問題での労働局交渉


 A君への対応は丁寧とは到底言えない。「親の承諾書が必要」な未成年のスマホに電話を入れ「申請を取り下げるか」というのは申請制限に繋がるとして、A君の母親を伴い労働局と交渉を行った。
 冒頭、A君の母親から経緯を説明。1月18日の回答をもとにA君への対応を抗議。改めて未成年者を含めた申請者への丁寧な説明と対応の徹底と、二人の申請手続きを早急に進めるよう申し入れた
 処理センター室長は対応の不備を認めて謝罪し、その場で書類のチェックを行った。結果、「書類に不備はない」として「処理を進めるよう指示する」、「現場への注意・指導を徹底する」と約束した
 後日A君の母親から「支援金の振り込みがあった」と電話があり、「組合のお陰でここまで来られた、相談して良かった」との感謝の言葉があった。

 

労働組合への信頼から組織化に


 今回は組織化に繋がらなかったが、労働組合に対する信頼は得られたと確信している。労働相談活動の第1は未組織労働者の組織化であり組織拡大である。しかし、今回のように労働組合への信頼を得ることで終わる相談活動も無意味とは思わない。


 「労働局、労働基準監督署ハローワークなどの窓口対応は不適切」とされるが、たとえ組織化につながらない相談であっても、労働者に付き添って行政に掛け合い労働者の要求実現に奮闘している労働組合や相談員は大勢いる。そうした取り組みが労働組合への信頼、そして組織化に繋がると確信し、夢とロマンを持って相談活動を続けたい。A君が将来、不利益な扱いを受けても諦めずに労働組合に相談することを、そして組合加入することを願って。

 

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