組合を作って職場の雰囲気が一変! 教職員たちがマリスト国際学校に労働組合を結成
兵庫私学労働組合マリスト国際学校分会
学校法人マリスト国際学校では2020年春、理事の解任、複数の評議員の退任、PTA会長の退任など、不穏な動きが相次いだ。新学期を3週間後に控えた7月末、教職員に何の前触れもなく、校長が突然解雇された。教職員の間には不安と動揺が広がり、校長不在の中、約40人の教職員が仕事を分担し、手探りで新学期の準備を始めた。
その1週間後、理事会が教職員の質問に答えるオンライン会議があったが、理事の1人が文面を読み上げるのみで、「秘匿情報」を理由に何の説明もされなかった。
校長は正当な手続きを経て解雇 注)されたのか? 私たちの無期転換契約とはどのような意味を持つのか? という疑問に、理事会からの回答はなかった。そんな時、数人の教職員から「労働組合を結成しよう」という声があがった。
注)2018年に無期契約に転換されたが、なぜか委任契約の期間満了とされ事実上の解雇。
《なぜ、兵庫私教連だったのか》
欧米の国々での労働組合の経験が豊富な教職員はいても、日本の労働組合について知識がある者は皆無であった。新聞記者・学校関係者・組合経験者などから聞き取りをしたり、インターネットの組合サイトを比較したりと、リサーチを続けた。結果、大きな組織より、その地域について、また学校について知っているローカルに根付いた組合の方が信頼関係が築きやすいという結論に行き着いた。さらに、ある人のひと言で兵庫私教連への加入を決断した。それは兵庫私教連と団体交渉をしたある学校の元管理職が、「あそこは手強かった。彼らは法律を知り尽くしている」と言ったことであった。その人は、さまざまな組合と交渉をしてきた中で、兵庫私教連で団体交渉をした時には「ほとんどの(要求を)のまなければならず、大変だった」と漏らしており、それはまさに、私たちが探していた組合だと確信した。
そうして私たちは私教連のドアをたたいた。話を聞いてほしい思いでいっぱいであった。応対者はそんな私たちの突撃訪問を温かく受け入れてくれた。その後、夏休みを返上しての取り組みで、1ヵ月後には32人が加入する組合を設立することができた。
夏休み中には、組合の話をする際には隠れるように声をひそめて会話をしていたなかまたちが、今では大きな声で、時おり冗談を言いながら話をしている姿を目の当たりにするようになった。
賃金のこと、そのほかの労働条件のことなど、教職員の不安や疑問を積極的に話し合う雰囲気へと、職場は大きく変化した。
海外から来日した教師陣の多くは長くここに住み、この須磨の地を第二の故郷のように大切に想い、子どもたちをマリストで教育している。
私たち教職員は強い絆で結ばれ、学校のために、また地域社会のために貢献し、将来を見据えてより健全な学校を築いていくことを念頭に活動していきたいと思う。
(月刊全労連2021年3月号掲載)
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