月刊全労連・全労連新聞 編集部

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【神奈川】新型コロナで「定期昇給」なし!?納得できない医療従事者が労働組合に加入→団体交渉→定期昇給を勝ち取る→職場に自分たちの組合を作るまで!#労働組合ができること

 

誰もが安心して働ける職場をめざして ─めぐみ在宅クリニック労働組合─ 神奈川県医労連 書記長 柏木 哲哉

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 2020年10月16日、横浜市内にある在宅医療を専門とする個人経営の事業所「めぐみ在宅クリニック」で、労働組合が結成されました。組合員数は13人で医師・看護師・事務職の医療労働者を中心に組織をしています。

 

《院長の独断運営により職場が振り回され、コロナを理由に定昇なし》

 

 当事業所は個人経営の典型である院長の理不尽な人事・経理運営で、職員が常に振り回される職場環境が長年続いてきました。また、患者とのトラブルも発生し、職員がフォローする状況でした。さらに、スタッフとの信頼関係を全く築けていません。そして、今回のコロナ禍での収益ダメージを理由として定期昇給見送り夏期一時金削減などを、職員に対して一切の説明をすることなく強行しました。院長に何度も不利益変更をした説明を求めても「いつか説明します」と言いながら、ずっと私たちから逃げ続けてきました。

 

《神奈川県医労連を訪れ団体交渉をスタート》

 

 院長の身勝手な行動や一方的な削減などに耐えられなくなり、職員3人が労働相談として神奈川県医労連を訪ました。早速、ひとりでも加入できる医労連個人加盟労組へ加入団体交渉を申し入れ、院長との交渉が実施されました。院長は交渉の中で「職員との信頼関係が築けないので、院長職を降りて自由になりたい」と身勝手すぎる発言に終始しました。一方で「経理関係については信頼関係がある家族(嫁・娘)が担っているので問題ない」とお金に係る部分は握って離さない姿勢が露わになり、院長に対する不信感は一層高まりました。

 

《交渉の中で要求が実現》

 

 煮え切らない院長との協議を続けてきましたが、交渉を進める中で定期昇給見送りを撤回させ4月まで遡って支払わせる事を勝ち取ったり、経営状況を明らかにさせたり、物事の決定は院長独断ではなく職員とキチンと協議する事を約束させるなど、一定の効果がありました(職責者会議や医局会議、経営部門会議を開設させることを約束し実施しています)。

 その後、当該組合員は「組織対組織」での団体交渉等を通じて職場環境の改善を更に発展させるため、なかまを増やして力を高めていこうと、職場内で一気に13人も拡大をしました。そして、院長に責任ある行動を取らせるために集団化することを決めて、労働組合を結成することを確認し、10月16日に結成大会を開きました。

 これから賃金や年末一時金、人員増やコロナ対策の課題等も併せて、本格的なたたかいを展開し、誰もが安心して働ける職場をめざしていきます。最初の活動として組合員から実態アンケートを集め、要求にして団体交渉を開きつつ、過半数組合の達成のため組織拡大にも力を入れていきます。

 

(月刊全労連2021年2月号掲載)

 

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