月刊全労連・全労連新聞 編集部

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「妻の同僚が職場でパワハラにあっている。そちらの #労働組合ができること はあるのか?」というストレートな問いに、真正面から答えた結果は? JMITU三多摩地域支部執行委員 杉本 正巳

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 「妻の同僚が職場でパワハラにあっている。いろいろ相談に行ったがうまくいかない。そちらの労働組合はどんなことができるのか」と電話が入った。労働組合は組合員の労働条件全般に対して会社と交渉を行うことができる。会社がこれに応じないことは法律で禁止されていて、パワハラも交渉できる」と説明。すると数日後、介護施設で働く女性から連絡があり、二人の同僚を連れて相談に来た


 相談者の訴えは「パワハラで困っている。18年勤続、当初から常勤を希望するも、非常勤のままとされ、さまざまな嫌がらせを受けてきた。1年半前に無期転換を申し出ると、同僚との間にパーティションを置かれ孤立させられた今、相談者(受付)を現在の勤務部屋からロビーに移動し、さらに孤立させようとしている。血便、睡眠障害、めまいを起こし、心療内科の診療予約をした」というもの。


体を何より大事に、事実を聞き取り、要求書を作成


 組合からは、「まずは、体を最優先すること。医師の診断を受け安静加療の指示があれば休職すること、それまででも、体がきつければ休むこと」を最優先事項として助言した。幸い、相談者は、聞取りに耐えられる状態であったので、12月5日、12日、21日の3日間で聞取りを行い、ハラスメント事実を5W1Hで文書化した。18年に及ぶ出来事の「いつ、どこで、だれが」を特定するには、3人の記憶をすり合わせながらの作業が効果的だった。
 1月にかけて要求書を作成。合わせて、事実と組合の主張を説明する「要求説明書」も作成した。要求説明書では、ハラスメント事実を明らかにするとともに、ロビーへの追い出しを正当化する文書への反論も行った。施設は、今回の処置は、政府発行の「新しい生活様式」の中で「オフィスは広々と」と推奨していることの実践であるとした。「要求説明書」では、他のコロナ対策がおざなりな中、「オフィスは広々と」だけを強調する片手落ちを指摘し、ロビーでの受付業務は、利用者の個人情報・プライバシー保護に逆行する旨の指摘を行った。


回答は要求を否定─しかしパワハラは止まった


 組合加入通知と団体交渉申入れを行う段になったが、施設長がいなければ、パワハラ行為者である副施設長が対応しかねない。1月13日、施設長が在園と確認して来訪。無事、施設長に申入れを行った。
 団交は、コロナ緊急事態宣言が続き開催できず、2月15日に回答書を得たにとどまった。回答書には、受付のロビーへの追い出しを問題ない、パワハラは否定した。しかし、実際にはロビーへの追い出しはなくなり、嫌がらせもなりを潜めていたこれを受けて、組合として、団交はいったん中止し、常勤化要求を中心とした交渉を準備することとした。


組合員拡大─活動参加


 この職場では、仕事の在り方に不満を持つ労働者が多数おり、組合員との対話で加入が進み、現在では8人の組合員となった。それぞれが不満・要求をもっており、丁寧に聞き取りながら、コロナの中、文書団交によって要求の前進を図っている。最初の3人は、組合勧誘や打合せの連絡調整など中心的に活動。支部大会で、新たに会計監査になってもらったり、メーデーに出演したりと活動参加が進み、分会づくりも視野に入れ、支援を続けている。また、相談の中で、入所者やその家族へのぞんざいな扱い、施設の安全性などの問題も提起されており、市議会議員とも連携して対応している。

 

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