月刊全労連・全労連新聞 編集部

主に全労連の月刊誌「月刊全労連」、月刊紙「全労連新聞」の記事を紹介していきます。

【岐阜】NTT子会社で契約社員が雇止めに!納得がいかないので、労働組合に加入して会社と交渉した結果は…?#労働組合ができること JMITU通信産業本部岐阜支部 執行委員長 松葉正之

非正規社員の雇用を守る 「雇い止め」裁判で組合員が全面勝訴

JMITU通信産業本部岐阜支部 執行委員長 松葉正之

 

 2017年12月25日、岐阜地方裁判所(以下、岐阜地裁)にて、NTT契約社員雇い止め裁判で画期的な判決が出された。この裁判は、NTT西日本の子会社「NTTマーケティングアクト」(大阪本社)から不当な雇い止めを受けた東海支店岐阜営業部に働く契約社員が、労働契約法上の地位保全賃金支払いを求め提訴したものである。

 

 有期雇用契約社員6人は、3ヵ月ごとの反復更新を繰り返し、5~12年間フレッツ光」販売で働く営業担当である。2015年2月に「光回線の直接販売はなくなる」と11月末の雇い止め通知を受けた。

 

労働組合に加入して交渉開始》

 

 会社契約社員全員に「雇用終了同意書兼斡旋希望確認書」を渡し、提出しなければ再就職先を斡旋しないと脅して提出を強要した。雇用終了に同意し、斡旋を希望しても採用されるか分からず、総合的に判断して決めるとしており、とても納得できるものではない。

 契約社員6人は通信労組岐阜支部(現JMITU通信産業本部岐阜支部)への加入を決意し、同意書の提出を拒否。組合員となった6人は社長に対し、雇用継続の意思を示す「申入書」を提出した。

 

《しかし会社側の対応は…》

 

 ところが会社は、通信労組交渉中であるにもかかわらず同年9月30日で雇い止めを強行した。

 

 これに対し、岐阜支部は組合員6人の地位保全仮賃金支払いを求め岐阜地裁仮処分申請をした。2016年3月15日に岐阜地裁は、「雇用終了同意書兼斡旋希望確認書」の提出は、「労働契約法19条の保護を受ける主張を封じる目的であることは容易に推認できる」とし、一審判決言い渡しまで「仮賃金を支払え」との仮処分命令を下した。

 本訴では5回の口頭弁論と9回の弁論準備手続きを行い、全国の仲間の支援で個人1万4775筆、団体712筆の署名を提出することができた。

f:id:zenroren1989:20210324130217j:plain

《会社側の雇い止めの回避努力は不十分》

 

 今回の判決では、「人選の合理性や手続きの相当性を欠くとは言えない」が、人員削減の必要性については、「雇い止めの対象者(東海支店で112人)の人数に見合うほどの人員削減の必要があったか否かについては、疑義があると言わざるを得ない」とし、雇い止めの回避努力については、「不十分であった」として「総合的に考慮すれば、今回の雇い止めは客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認めることはできない」とした。そして原告6人は、「雇用継続の更新を会社に申し出ており、労働契約上の地位にある」と認定し、雇い止めされた2015年10月1日以降の賃金請求権を認め、判決確定までの将来賃金の支払いを命じたのである。

 判決後の報告集会・記者会見には多くの仲間や支援者が参加し、新聞社テレビ局13社が取材に来て、当日のニュースや翌日の新聞で報道された。

 会社は不当にも控訴した。引き続きご支援をお願いし、名古屋高裁での勝利をめざしたい。

 

《各社報道》

日本経済新聞】NTT西の雇い止め無効 子会社契約社員、岐阜https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25032780V21C17A2000000

朝日新聞】雇い止め、NTT西子会社に賃金支払い命令 岐阜地裁https://www.asahi.com/articles/ASKDT3DN9KDTOHGB002.html

毎日新聞】NTT子会社:契約社員6人の雇い止め無効 岐阜地裁 https://mainichi.jp/articles/20171226/k00/00m/040/111000c

 

 

【その後の経過】 契約社員を励ます画期的な勝利和解!!(JMITU通信産業本部ホームページより抜粋) NTT契約社員雇止め裁判勝利和解 (tcwu.org)

 

 名古屋高裁は、第1回目口頭弁論(2018年4月26日)で結審となり、原告側・被告側双方に対し和解を提案して来ました。会社側より「雇止めを撤回し陳謝する」などの和解内容の提案があり、協議を重ねた結果、和解に合意しました。この結果は、不当な雇止め手法によって契約社員においても安易に雇止めにできないことを示し、全国の契約社員を励ます画期的な勝利となりました。支援活動も多くの団体や個人の方々からご協力をいただきました。署名は、個人の方々から2万筆を超え、団体は1000団体近く集まりました。また、多くのカンパもいただきました。今回の労働裁判の勝利は、こうした皆様のご支援・ご協力のたまものです。本当にありがとうございました。

 

f:id:zenroren1989:20210324130156j:plain

■原告から喜びの声①

 ずっと働けると信じていた会社から、雇止めの宣告を受け途方にくれていた時、組合の存在を知り6人の仲間と裁判でたたかうことを決めました。

 この長い長いたたかいには常に不安が頭にありましが、勝利和解を勝ち取ることができました。私は嬉しいという気持ちと、ほっとした気持ちと、職場に戻れなかったという悔しい気持ちが沸いてきました。しかし、裁判をここまで続けられたのは原告の仲間や組合の皆様、そして私達を支援していただいた沢山の皆さま方のおかげだと思っております

 

■原告から喜びの声②

 裁判は初めてのことなので、最初の頃は何をすれば良いのか解らず、毎日が不安とプレッシャーのたたかいが続きました。このままでは、精神的に持たないと思い、裁判のことや法律のことを少しずつ勉強しました。とにかく、裁判に勝つために、自分に何ができるのか?自分は何をすべきかを考えるようになりました。そして、支援のお願いに、いろいろな場所へ参加させていただきました。 

 皆様が暖かく迎え入れてくださり、更に心強く後押しをしていただいたことを、一生忘れません。皆様の支えが私の不安とプレッシャーを跳ね除けてくれました。ありがとうございました。

 

【声明文】一審原告ら6名 JMITU通信産業本部岐阜支部 NTTリストラ岐阜県弁護団(2018 年9 月11 日) 1008.pdf (tcwu.org)

 

 

 

( 月刊全労連2018年3月号掲載 )

 

※月刊全労連のご購読のお申し込みは「学習の友社」までお問い合わせをお願い致します。

定価:550円( 本体500円 ) 電話:03-5842-5611 fax:03-5842-5620 e-mail:zen@gakusyu.gr.jp